F1 2024ドライバー戦力ランキング

ランキングでは測れない真の実力が見えてくる

22年にも同様の採点企画を実施しているので、2年前と比べて評価が上がっているのか、下がっているのか、ドライバー自身の成長度合いで比較してみるのも興味深い【Red Bull Content Pool】

 整った環境下で100%を引き出すドライバーもいれば、万全とは言えない体制下でもチームの実力以上の結果をもたらすドライバーもいる。ポイントランキングだけでは見えにくいドライバーの真価を『マシン戦闘力』『チーム力』『一発の速さ』『決勝の強さ』『メンタルの強さ』という5項目から採点していこう。

(監修:autosport、文:柴田久仁夫)
※ランキング全順位と解説はスポーツナビアプリでご覧いただけます

順位 ドライバー(チーム) 合計 マシン戦闘力 チーム力 一発の速さ 決勝の強さ 精神力
1 M.フェルスタッペン(RedBull) 100 20 20 20 20 20
2 S.ペレス(RedBull) 90 20 20 16 18 16
2 C.ルクレール(Ferrari) 90 18 17 19 18 18
4 C.サインツ(Ferrari) 89 18 17 18 18 18
5 F.アロンソ(Aston Martin) 88 15 15 20 18 20
6 G.ラッセル(Mercedes) 86 16 17 18 17 18
6 L.ノリス(McLaren) 86 17 17 18 17 17
6 O.ピアストリ(McLaren) 86 17 17 18 17 17
9 L.ハミルトン(Mercedes) 82 16 17 17 15 17
10 N.ヒュルケンベルグ(Haas) 76 13 16 16 15 16
11 A.アルボン(Williams) 75 13 15 15 15 17
12 K.マグヌッセン(Haas) 74 13 16 13 14 18
13 角田裕毅(RB) 71 12 12 18 14 15
14 E.オコン(Alpine) 68 10 11 16 15 16
14 L.ストロール(Aston Martin) 68 15 15 14 11 13
16 V.ボッタス(Kick Sauber) 67 11 11 14 14 17
16 P.ガスリー(Alpine) 67 10 11 16 15 15
18 周冠宇(Kick Sauber) 66 11 11 14 14 16
19 D.リカルド(RB) 65 12 12 13 14 14
20 R.サージェント(Williams) 64 13 15 11 12 13

※各項目20点、合計100点で採点

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 F1ドライバー全20人を採点しようという企画は、2022年以来の試みとなる。あれから2年が経つが、意外にドライバーの顔ぶれは変わっていない。姿を消したのはセバスチャン・ベッテル、ニコラス・ラティフィ、ミック・シューマッハーの3人のみ。残り17人は、しっかり現役を続けている。

 しかもニコ・ヒュルケンベルグが復帰したこともあって、採点ルーキーは、オスカー・ピアストリとローガン・サージェントだけ。ニック・デ・フリース、リアム・ローソンはF1デビューを果たしながら、レギュラーの座を得られなかった。若い才能がF1に割り込むことがいかに難しいかが、改めて浮き彫りになった2年間でもあった。

 一方でドライバー勢力図の観点から言えば、最大の変化は『マックス・フェルスタッペンの無敵化』だろう。

 前年に初戴冠を果たしたフェルスタッペンは、2022年も安定した強さで22戦17勝を挙げて二連覇を達成した。とはいえ獲得ポイントは454で、2位シャルル・ルクレールとのポイント差は『わずか』146だった。それが昨年は22戦19勝、シンガポールの5位以外はすべて1、2位表彰台という圧倒的な成績で575ポイントを荒稼ぎ。2位セルジオ・ペレスに290ポイントの大差をつけた。

 もちろんこの結果には、レッドブルのマシン戦闘力、ライバルを圧倒するチーム力も大きく貢献している。とはいえ同じマシンを駆るペレスにダブルスコアをつけているわけで、もはや別次元の存在と言えるほどだ。

3年連続ワールドチャンピオンには、もはや弱点が見つからない。フェルスタッペンに迫るライバルがいないわけではないが、マシン戦闘力とチーム力が伴わないと対峙するのは至難の業といえるだろう。【Red Bull Content Pool】

 2年前も1位はフェルスタッペンだったが、レッドブルの『マシン戦闘力』『チーム力』にはまだまだ改善の余地があり、本人の『一発の速さ』も予選でルクレールにポールポジションを奪われることが多かったために、18点の評価だった。

 しかし今季は(まだ2戦を終えたばかりとはいえ)、2戦連続PP獲得、ワン・ツー・ウインと圧倒的だ。もともと『決勝の強さ』『メンタルの強さ』は非の打ちどころがなかったが、いまや欠点らしい欠点が見当たらず、全項目満点とした。

 2位には90点を獲得したペレスとルクレールが入った(2年前はペレスとルイス・ハミルトンが同率2位だった)。『マシン戦闘力』と『チーム力』でフェラーリが劣る部分を、ルクレールが『一発の速さ』と『メンタルの強さ』で巻き返した形だ。

 カルロス・サインツは1ポイント差で、4位となった。ルクレールとの違いは『一発の速さ』のみで、フェラーリのふたりの実力はほぼ拮抗していると言っていい。さらに今のサインツには(あくまで開幕戦の走りだけでの印象だが)、来季フェラーリからの放出が決まったことによる、吹っ切れた強さが感じられる。

 フェルナンド・アロンソはサインツに1ポイント及ばず5位だったが『一発の速さ』と『メンタルの強さ』はフェルスタッペンと同じく満点。『決勝の強さ』も18点と、総合的な『ドライバー力』は極めて高い評価になった。

 7月には43歳になるが、熱さと冷静さを実に高いレベルで兼ね備えたドライビング技術は健在。今季のアストンマーティンは今のところマクラーレンやメルセデスにも劣り、10チーム中5番手あたりの戦闘力だが、それで予選4番手、決勝5位という今季の結果は驚異としか言いようがない。

ドライバーの資質が出る2項目で満点を獲得したのは、フェルスタッペン以外ではアロンソのみ。F1現役最年長でありながら、今季さらなる進化の予感。【Aston Martin F1】

 対照的にアロンソと明暗を分けたベテランが、ハミルトンとダニエル・リカルドだった。確かにメルセデスは今季も戦闘力不足に苦しんでいるが、ジョージ・ラッセルは予選3、7位、決勝5、6位と、それなりの結果を出している。ところがハミルトンは予選9、8位、決勝7、9位と、ふたりの差は歴然だ。

 フェラーリへの早すぎた移籍表明が、モチベーションにある程度影響を与えているのかもしれない。それにしてもレース中に何度も弱音を吐く姿からは、2年前に『メンタルの強さ』で満点をつけた面影はない。

 リカルドは、それ以上に絶不調だ。予選、レースを通じて精彩を欠き、いまだにQ3進出もポイントも獲得できずにいる。「どこでタイムロスしてるのかは明確だが、どう改善したらいいのか分からない」というコメントが出てくるあたり相当に深刻だ。かつてベッテル、フェルスタッペンと互角に渡り合ったリカルドが20人中19番手という結果は衝撃だろう。

 最後に角田裕毅に触れよう。今季のRBマシンは現状8〜9番手の戦闘力しかなく、『マシン戦闘力』『チーム力』で、かなり足を引っ張られている。それでも予選11、9番手につける『一発の速さ』は、トップドライバーに匹敵すると評価し、18点をつけた。

 一方で決勝ではミスが目立ち、平常心の維持にも依然として苦労しているように見える。なので『決勝の強さ』は14点、『メンタルの強さ』は15点に留めた。そのため20人中13位となったが、昨年のようにシーズン中にマシン戦闘力が向上し、決勝でも結果を出せば、トップ10入りも十分可能だろう。

ハミルトンの評価を22年と比べてみると『メンタル』の下がり幅が大きい。持ち味のレイトブレーキングを武器に、果敢にコーナーを攻める勇姿を待ち望んでいるファンは多いはず。【MercedesAMG】
チーム名称の変更とともに、実力派スタッフが数名加入するなど体制も強化したRB。上位で戦うための素地は整ったはずなので、角田、リカルドがそろって好戦できる日が待たれる。【Red Bull Content Pool】

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