実戦形式の打撃練習「ライブBP」でいきなり本塁打! 大谷翔平の早期復帰をサポートする最新の打撃マシン「ビジョン」とは?
実戦形式の打撃練習「ライブBP」に初参加し、笑顔を見せる大谷翔平 【写真は共同】
フリーマン長男は大谷が大好き
「これ、すごい喜んでいるんだよ」
その日の練習が終わってから一連の経緯を明かし、そのときの写真を披露したフリーマン。「まぁ、7歳だから、こういうシャイな反応になるけど」
その日の朝、チャーリー君は大谷がクラブハウスに到着すると、ジョー・ケリー(ドジャース)の長男ノックス君を伴って、ロッカーまでやってきた。
大谷とチャーリー君は、2022年にロサンゼルスで行われたオールスターゲームで一度会っている。フリーマンはキャンプ初日、「さっき翔平に会ったら、『チャーリーはどこ?』って聞かれたんだ。2年前のことなのに、ちゃんと名前を覚えてくれているなんて、すごいうれしかった」と笑みを見せたが、今度はチャーリー君が、ノックス君を紹介する形になった。
ノックス君にサインをもらうよう促したチャーリー君だが、大谷が、「チャーリー、元気?」と話しかけると、そっけなく背中を向けて歩き去った。
ただ、やはりチャーリー君は大谷のことが大好き。フリーマンは、「チャーリーは土曜日にやってくる。ずっと追いかけるから、翔平は疲れてしまうかもね」と話していたが、その土曜日、大谷が屋外でトレーニングを始めると、ついて回った。
大谷がメディシンボールを真上に投げるトレーニングをしているときも近くに。あるとき、そのボールがチャーリー君たちの方向へ。「危ない」と言いつつ、慌てて取りに行った大谷の顔面をワンバウンドしたボールが直撃すると、大谷の「ハハハハハハハハ」という笑い声が、キャンプ地に響いた。
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大谷の仕上がりに「みんな驚いている」
子どもと触れ合う大谷 【写真は共同】
角度がなかったため、よくてフェンス直撃の二塁打かーー。そんな打球だった。決してフルスイングではない。やや、タイミングも外された。もちろん、シーズン中、あるいは、通常のキャンプなら、超えてもおかしくない。しかし、リハビリ中。しかも、ライブBP初日で、あの打球が打てるとはーー。
「予想よりも早く仕上がっている」とデイブ・ロバーツ監督。「みんな驚いている。翔平以外は」。
契約した当初は、「開幕に間に合わせてくれーーそんなプレッシャーを掛けないように気を使った」という。しかし、もはや気遣いは無用。「今の流れは、非常にいい」と、監督は開幕で打席に立つ可能性が高いことを示唆する。
そもそも、大谷の打撃の軸である「構え」「見え方」がしっくりするには、ある程度の時間を要し、実戦でしか養えない。どう失われた時間を補うかだが、21日の練習後に大谷がこんな話をした。
「いま、5打席ぐらい、ビジョンで打ってきた」
この大谷が口にしたビジョンが何を意味するかだが、これは、トラジェクトアーク(映像参照)のこと。カナダのベンチャー企業「トラジェクトスポーツ」が開発したその打撃マシンは、スクリーンに実際の投手が投げる映像が映し出され、STATCAST(ホークアイを用いたメジャーリーグ独自のデータ解析ツール)で得られる投球軌道のデータ、縦横の変化量、球速、回転数などを入力することで、その投手の投げる球を“完コピ”できる。
最大の特徴はジャイロ成分を再現できること。これまでの打撃マシンでは不可能だったが、大谷翔平、千賀滉大らが投げるジャイロスプリットさえ、忠実に再現できるようになった。現在、メジャーでは約20球団が導入しているとされる。
大谷はそれをエンゼルス時代に使用していたが、そのマシンがドジャースのキャンプ地にもあり、大谷がそれを使っていることを、公に認めた。