ドジャースキャンプレポート2024(毎週木曜日更新)

実戦形式の打撃練習「ライブBP」でいきなり本塁打! 大谷翔平の早期復帰をサポートする最新の打撃マシン「ビジョン」とは?

丹羽政善

ハーパーのメジャー復帰をサポート

トラジェクトアークには実際の投手の映像が映し出される。リリースポイントも投手に合わせて変化 【撮影:丹羽政善】

 その最新の打撃マシンがどう役立つかだが、こんな例がある。

 ブライス・ハーパー(フィリーズ)は22年11月23日に大谷と同じトミー・ジョン手術を行い、23年5月2日、マイナーリーグでのリハビリをすることなく、わずか160日でメジャー復帰を果たした。野手とはいえ、復帰例としては最短だ。

 その過程でハーパーは、マイナーの投手に投げてもらうなどライブBPを重ねたが、まだ、スイングができないときは、トラジェクトアークで軌道の目慣らしを行い、さらに、スイングが解禁されると、そのマシンで打ち込んだという。これまで、マイナーで実戦感覚を養ってから、というのが通例だったが、その過程をまるごと飛ばした。

 大谷には今後、オープン戦で打席を重ねる機会があるが、スイングが制限されている期間は、彼もまた、トラジェクトアークでトラッキングを重ねていたようだ。それによってどこまで遅れを取り戻せるのかだが、大谷は開幕までに50打席は立ちたいーーという会話の流れで、「ビジョンも、僕的には(50打席に)含まれる」と言った。言い換えれば、トラジェクトアークはそれぐらい”使える”ということになる。

 結果が出るのは先だが、今年からトラジェクトアークは、試合中にも使用できるようになった。打席の間に時間がある大谷は、そのルール変更をどう味方につけるのか、その点でも興味深い。

 なお、オープン戦の出場は来週前半が有力となった。開幕まで約3週間。大谷の中では、ライブBP、トラジェクトアークの打席数も開幕前に必要な打席数にカウントされるので、本人も「トータルで50っていうのは、すぐ行くんじゃないかな」と楽観的。完全に開幕戦が視界に入っている。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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