パ・リーグ6球団の補強診断 大きな動きを見せたソフトバンクの評価は?

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ソフトバンク 評価C

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 小久保裕紀新監督の指揮のもとで、4年ぶりのリーグ優勝を目指すソフトバンク。今オフは不振に終わった外国人選手のほか、森唯斗や嘉弥真新也といった実績のあるベテラン選手が自由契約となり、チーム内の戦力の入れ替えを積極的に行った。他球団と一線を画す豊富な資金力を生かし、今オフは西武からFA宣言した山川を獲得。前年の近藤健介と同様に、FA補強で侍ジャパンのスラッガーを新たに加えた。さらに、充実した投手陣からは高橋礼と泉圭輔の2人を巨人に放出し、2022年に23本塁打を記録したウォーカーをトレードで獲得した。昨季リーグトップの得点を記録した打線はさらに強化され、今季も12球団屈指の破壊力を持つラインアップを形成することができそうだ。

 投手陣では、流出の可能性があった守護神・オスナと4年契約を結ぶことに成功。昨年のドラフト会議で高校生No.1の呼び声も高い前田悠伍を引き当てるなど、戦力の維持と有望株の獲得に成功した。課題となっている先発投手陣についてはここまで有効な補強ができていないが、ドラフト2位ルーキー・岩井俊介のローテーション入りが期待されるほか、モイネロと大津亮介がリリーフから配置転換される見込みである。

 巨大戦力ゆえに出場機会が限られていた投手も多いが、小久保監督のもとで選手のモチベーションを上手に引き出せるかどうかもポイントになってくるだろう。現在支配下登録の外国人は5名のため、補強の余地を残す先発投手や内野手の新助っ人が加わることも考えられる。

ロッテ 評価B

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 リーグ2位の昨季を経て、今シーズンは19年ぶりのリーグ優勝を目指すロッテ。今オフは最優秀中継ぎのタイトルに輝いたペルドモが自由契約に。本塁打王を獲得したポランコも退団の可能性があったものの、こちらは契約の延長にこぎつけている。FA権を取得した田村龍弘や岡大海との再契約も果たし、戦力の流出を最小限に抑えることに成功した。

 その上で、積極的に外国人選手の補強に動き、新たに4人の助っ人を獲得している。昨季メジャーで31試合に登板したコルデロはセットアッパーとして期待され、ほかにもダイクストラ、フェルナンデスとコンスタントに150キロ以上の速球を投げる剛腕投手をそろえた。また、昨季チームの課題となった一塁手にはDeNAで通算161本塁打を記録したソトを補強。近年は来日1年目から期待通りの活躍ができる外国人打者が少ない中、前年に巨人から獲得したポランコと同様に、一定の計算が立つ助っ人野手を選択している。

 ドラフト会議では、大学生野手でトップ評価の上田希由翔を1位で指名すると、2位では最速159キロの剛速球右腕・大谷輝龍を獲得した。左打ちの内野手である上田は安田尚憲とポジションを争いながら、将来は打線の中軸に座ることが期待される。大谷は前所属の独立リーグ・富山で抜群の奪三振能力を示しており、勝ちパターン候補として期待を受ける存在だ。今オフは戦力の流出を抑えながら、チームの弱みを埋める補強に成功しており、新シーズンに期待を持たせる陣容となった。

オリックス 評価C

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 リーグ3連覇中と黄金期に突入しているオリックス。しかし、今オフは国内No.1投手の山本由伸がポスティングシステムによるメジャー挑戦を決断。その山本に次ぐチーム2位の11勝を挙げた山﨑福也もFAで日本ハムへと移籍した。このほかワゲスパックや漆原大晟など、一定の活躍を見せた投手も数多く退団している。

 昨季はリーグトップの防御率を記録した投手陣だが、一二軍ともにチーム総投球回の約3割を退団選手が占めており、戦力の「量」の部分で不安を抱えている。こうした事情もあり、ドラフト会議では育成選手を含めて9名の投手を獲得。さらに新戦力として鈴木博志や吉田輝星、ロッテで活躍したカスティーヨ、新外国人ではエスピノーザとマチャドを加えた。ドラフト5位以降で指名された高島泰都ら社会人出身の投手は、1年目から出番に恵まれるはずだ。投手の枚数は十分にそろったものの、やはりエース級の投手が2人抜けた穴の影響は大きいと見られ、投手陣の負担増加がやや心配される。

 一方の野手陣は、広島からFAとなっていた西川龍馬を獲得すると、FA権を取得した若月健矢との契約延長に成功した。外国人ではゴンザレス、セデーニョと再契約を結び、新たに外野手のトーマスを獲得。外野での出場も多かった野口智哉や廣岡大志は内野のポジションもこなせるため、野手の層は非常に充実している。さらにドラフト会議では高校生野手で高い評価を受けている横山聖哉を1位で指名し、将来的な中心選手として期待される逸材をチームに加えた。4年連続のリーグ優勝に向けては、やはり投手陣の成長と奮起が必要になるだろう。

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