元日本代表・福西崇史がアジアカップを展望 充実ぶりが際立つ森保ジャパンの優勝確率は?
元日のタイ戦に5-0で勝利し、国際Aマッチ9連勝を飾った森保ジャパン。福西氏はリズムを変えられるボランチの不足を懸念しながらも、今大会の大本命に推す 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
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グループステージは問題なく1位抜けする
ですから今回のアジアカップも、ベトナム、イラク、インドネシアと同じ組に入ったグループステージに関しては、まったく心配していません。この中で警戒するとしたら中東開催(カタール開催)のメリットを生かせるイラクになるのでしょうが、純粋な戦力値の比較で日本の優位は明らか。(フィリップ・)トルシエ監督率いるベトナムも、大会初戦の入り方さえ誤らなければ、不覚を取るような相手ではありません。ここは問題なく3連勝で1位抜けすると見ています。
本当の戦いは、決勝トーナメントに入ってから。僕も優勝した2004年の中国大会に出場しましたが、特に難しかったのはグループステージ第1戦のオマーン戦(1-0)と、決勝トーナメント初戦の準々決勝・ヨルダン戦(1-1/延長PK4-3)でした。大会初戦はもちろんですが、負けたら終わりの一発勝負の怖さを初めて感じるトーナメントの初戦も、気持ちの持って行き方がとても難しい。まずはそこに向けてチームが1つになれるかでしょうね。
ここでぶつかる可能性があるUAEは、ちょっと侮れないんじゃないかと見ています。UAEには15年大会の準々決勝でも(1-1からの)延長PK戦の末に敗れていますが、あの試合で先制点を決めたエースの(アリ・)マブフートは、33歳になった今も健在で、昨年の北中米ワールドカップ・アジア2次予選でも2試合で2ゴール。さらに若い世代が育っていれば、厄介な相手になるかもしれません。
韓国よりも中東勢の方が戦いにくい
“ホーム”で戦える中東勢は、本来の力以上のものを発揮しそう。なかでもアズムン、タレミ(写真)という一線級のアタッカーを擁するイランが、対抗馬の一番手か 【写真:ロイター/アフロ】
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サウジは現在、かつてのJリーグのように国内リーグに海外の一流選手や指導者を多数呼び寄せ、国を挙げて強化を進めています。代表チームを昨年の8月から率いているのも、元イタリア代表監督の(ロベルト・)マンチーニですからね。もちろん、その指導法がチームに合うかどうかは分かりませんが、ポジティブに変わる可能性を秘めているのは確かです。
それに、カタール・ワールドカップを経験したエースの(サレー・)アル・シェハリ、右サイドの(サウド・)アブドゥルハミドなどタレントも豊富ですからね。かなり手ごわいと思いますよ。
アジアの戦いでは基本的に、日本がボールを持つ時間が長くなります。ただ、引いた相手の守備ブロックを崩そうと前がかりになって怖いのは、やはりカウンター。特に1人、2人だけで完結できる能力の高いアタッカーが前線にいるチームは、非常に戦いにくい。後ろも気にしながらだと、なかなかリスクを負った攻撃ができませんし、そうやって堅い試合に持ち込まれれば、メンタル的にもどんどんきつくなりますからね。
そう考えると、ローマの(サルダル・)アズムン、ポルトの(メフディ・)タレミといったヨーロッパで活躍する一流のアタッカーを前線に配するイランは、サウジ以上に手ごわそうです。もちろん韓国にも大エースのソン・フンミンがいますし、パリ・サンジェルマンでプレーするイ・ガンインなど若いタレントも育っていますが、気になるのは(ユルゲン・)クリンスマン監督のマネジメント力。優秀な個をチームとして上手く融合できるのか、ここまでの采配を見ているとやや疑問が残ります。