データで分析する現役ドラフト連載2023

【現役ドラフト】注目投手12人を紹介 実績豊富な右腕やスピードボーラーに開花の兆しも

データスタジアム株式会社

21年には2ケタ勝利を挙げるなど、実績豊富な巨人・高橋優貴 【写真は共同】

 出場機会に恵まれない選手の移籍活性化を狙い、昨年度に初めて実施された現役ドラフト。12月8日に開催予定の第2回現役ドラフトに向け、前年の振り返りや今年の注目ポイントを全5回に分けてお届けする。

※本文は2023年11月27日時点の情報をもとに執筆
※以下、選手の年齢は2023年12月31日時点

 今回は現役ドラフトの対象となる投手の中から、二軍で好成績を残した選手をピックアップした。環境次第では主戦場を一軍に移し、より一層の活躍が期待される選手たちである。昨年度の現役ドラフトで移籍した投手の中では、阪神の大竹耕太郎が主力級の活躍を見せたが、彼に続くような活躍の可能性を秘める選手たちを紹介したい。

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 まずは、先発としての活躍も望めるパ・リーグの投手を見ていこう。

 今季から先発に挑戦した西武の宮川哲は、イースタン・リーグで防御率2.45をマークして最優秀防御率のタイトルに輝いた。一軍では初先発となったマウンドで白星を飾るも、以降は振るわず4試合の登板にとどまっている。チームでは同じく先発に転向した平良海馬がエース級の活躍を見せるなど、ローテーションの層は厚い。加えて、今年のドラフトでは即戦力左腕の武内夏暉を3球団競合の末に獲得。来季も先発の枠をめぐる激しい競争が繰り広げられる見通しだ。宮川はプロ入りから3年間で123試合の一軍マウンドに上がった実績と、4年目の今季は二軍で103イニングを投げ抜いたタフネスさも売りとしている。起用の幅も広く、二軍で待機させるにはあまりに惜しい投手だろう。

 次に紹介したいのが、ウエスタン・リーグで最優秀防御率のタイトルを受賞したオリックスの村西良太だ。今季は、元々サイド気味だった投球フォームを改良し、アンダースローに本格転向した。これまでは主にリリーフとして起用されていたが、二軍では14度の先発を含む22試合に登板。99イニングを投げて防御率1.73を記録した。一軍では防御率6点台と振るわなかったものの、フォーム変更1年目ということを考慮すれば、まだまだ伸びしろは残しているといえるだろう。チームは山本由伸のメジャー挑戦に加えて、山崎福也のFA移籍が決定。村西が現役ドラフトの候補にリストアップされる可能性は低いかもしれないが、希少なアンダースローとして、どのような環境でも活躍が期待される投手だ。

 そして、日本ハムの生田目翼も先発候補に挙げられる。今季の一軍登板はリリーフでの5試合にとどまったが、二軍では先発と救援合わせて28回2/3を投げて防御率0.94と出色の数字を残した。21年にはイースタン・リーグの最優秀防御率に輝くなど、二軍での実績は十分。今季は一軍でのストレート平均球速が150キロを計測しており、プロ6年目を迎える来季こそは持っている力を最大限に発揮したいところだ。

 パ・リーグのリリーフ投手では、ソフトバンク・尾形崇斗のスピードボールが光る。今季は二軍でストレートの平均球速を前年から約3.5キロも向上させ、150キロの大台に到達。41試合に登板して防御率0.98、奪三振率11.54と打者を圧倒し、セーブ王に輝いた。ファーム日本選手権で胴上げ投手になるなど経験を重ねた一方で、一軍登板は12試合にとどまっている。

 同じくソフトバンクでは、左腕の笠谷俊介も二軍で傑出した成績を残している。28イニングを投げて42個の三振を奪い、防御率0.96をマークした。昨年の同企画でも好投手として取り上げたが、今季も一軍では8試合の登板にとどまり、殻を破ることができていない。両投手ともチームのブルペン陣が強力なこともあり、なかなか登板機会を得られずにいるが、リリーバーとして一軍で活躍できるだけの実力は有しているはずだ。

 先のパワーピッチャーの2人に対して、楽天の弓削隼人は小さく変化するボールで打者を打ち取る技巧派左腕だ。今季は一軍で防御率5点台に終わるも、二軍では防御率1.73を記録。特に左打者に対しては被打率.191と強みを発揮した。昨年の現役ドラフトではヤクルトが技巧派左腕の成田翔を獲得したように、左のワンポイントとしての需要を満たしている投手かもしれない。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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