セ・リーグ6球団の最新戦力査定 来季に向けて補強が必要なポジションは?
10月末のドラフトでは広島の常廣(左)、巨人の西舘(右)ら、セ6球団のうち5球団が即戦力として期待できる大学生投手を1位に。その後も各球団が戦力整備に動いており、今後の動向からも目が離せない 【写真は共同】
阪神の最新戦力評価:A
ドラフトでは下村を1位単独指名。青学大では常廣に次ぐ二番手投手だったが、実戦向きと評判で1年目から戦力になる可能性は十分だ 【写真は共同】
38年ぶりに日本一に輝いた阪神。戦力の充実ぶりは、セ・リーグの他球団と比べて頭一つリードしている印象を受ける。
大きな強みは、投手も野手も主力の年齢が全体的に若く、ベテランと外国人への依存度が非常に低いという点だ。強いて言えば大竹耕太郎、村上頌樹の“2年目のジンクス”と、リリーフ陣が少し高齢化してきたところが不安材料だが、ドラフトでは1位で完成度の高い下村海翔(青山学院大)、2位で中継ぎの即戦力候補である椎葉剛(徳島インディゴソックス)を選択。補強ポイントにしっかりマッチした指名を見せた。
野手ではキャッチャー、ショート、センターのセンターラインのバックアップ要員に物足りなさが残るが、致命的というほどの弱点ではない。主力選手の流出がなく、今後の成長が楽しみな選手が多いのも心強い。
ノイジー、ミエセスの2人がそこまで大きな戦力となっておらず、チームとして長打力がやや不足しているだけに、今後の補強としては外野を守れてパワーのある外国人野手を狙いたいところだ。
広島の最新戦力評価:B-
今季終盤戦に好印象を残した田村は、将来の中軸打者として期待されるホープ。高校を卒業して3年目となる来季は、外野のレギュラー争いに食い込んでくるかもしれない 【写真は共同】
4年連続のBクラスから2位に浮上したが、戦力的には優勝した阪神と大差があるのが現状だ。そこからさらにFAで中心打者の西川龍馬が退団(オリックスへ)。人的補償での選手獲得は未定だが、他に目立った動きは外国人野手の入れ替えくらいで、得点力が低下する可能性は高いだろう。
一方の投手については、ドラフトで大学ナンバーワン右腕の常廣羽也斗(青山学院大)を獲得できたことが大きい。まだ体が細く、森下暢仁のようにいきなり10勝するほどの活躍ができるかは分からないが、好調時の投球は圧倒的なものがあり、故障がなければある程度一軍の戦力として計算できるはずだ。
野手で西川の穴を埋める存在として期待したいのが末包昇大と田村俊介の2人だ。末包は今年11本塁打を放ち、田村も死球による骨折でわずかな出場に終わったが一軍でも高い対応力を見せた。気がかりなのが菊池涼介と秋山翔吾のセンターラインの2人で、両ベテランの負担を軽減でき、後釜候補にもなる選手が補強ポイントだろう。
DeNAの最新戦力評価:B-
森の実績は申し分ない。優勝を何度も経験していることも頼もしく、復活すれば重要な戦力になるはず。起用法にも注目だ 【写真は共同】
2年連続のAクラス入りを果たしたDeNA。しかしこのオフはかなり厳しい状況となっている。エースの今永昇太のメジャー移籍が濃厚で、FA権を行使した石田健大、さらにバウアーとエスコバーの外国人投手2人も去就が未定。ドラフト2位指名で即戦力と見込まれる松本凌人(名城大)は現時点ではリリーフタイプで、今永らが抜けた場合、彼らが投げたイニング数をどう埋めるかが大きな課題だろう。
その穴埋め候補として注目されるのが、先ごろ獲得した森唯斗(前ソフトバンク)と中川颯(前オリックス)の2人だ。森はコンディションさえ万全ならまだまだ力はあり、中川も実績は乏しいが二軍では抜群の成績を残している。ただ、彼らだけに頼るのは心許ないだけに、先発の太い柱になれる投手が今後の重要な補強ポイントとなりそうだ。
一方の野手はドラフト1位の度会隆輝(ENEOS)に即戦力の期待がかかる。また昨年1位指名した松尾汐恩も二軍で順調なスタートを切っており、世代交代が一気に進むかもしれない。