連載:井端・西尾のドラフト対談 9月編

井端弘和が指名をシミュレーション! 豊作な2023年ドラフト候補の“上位36人”に選んだのは?

Timely!編集部

井端弘和さん(写真右)と西尾典文さんが「仮想」ドラフトに挑戦 【写真:スポーツナビ】

 プロ野球解説者でありながら社会人野球のNTT東日本でコーチを務めるなど、日頃から有望アマチュア選手に目を光らせている井端弘和さんと、年間300試合以上アマチュアの試合を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務める西尾典文さん。この二人が各球団のGMだったら、一体どんなドラフト指名をするのだろうか?

 まだ志望届を提出していない選手も多い9月上旬、井端さんの「侍ジャパン監督」就任前に今年のドラフト指名をシミュレーションしていただいた。

花巻東・佐々木に4球団!大学一番人気は国学院大・武内!

 指名方式は、一巡目は入札抽選方式で行われ、二巡目以降はウェーバー方式という本番ドラフトと同じ方式。二人での12球団分の指名シミュレーションを行うため、井端さんがセ・リーグ6球団、西尾さんがパ・リーグ6球団の指名を担当し、今回は三巡目指名までをシミュレーションしていただいた。

 井端さんが一巡目で指名したセ・リーグ6球団の選手は次のようになった。

■阪神|前田悠伍 投手 大阪桐蔭高
■広島東洋|木村優人 投手 霞ヶ浦高
■横浜DeNA|武内夏暉 投手 國學院大
■読売|武内夏暉 投手 国学院大
■東京ヤクルト|細野晴希 投手 東洋大
■中日|常廣羽也斗 投手 青山学院大


 6球団の1位指名の顔ぶれは全員ピッチャー。井端さんの古巣・中日は大学No.1右腕の呼び声が高い青山学院大の常廣投手、巨人は國學院大の大型左腕・武内投手をそれぞれ指名した。

 通算140本のホームランを放っている話題のスラッガー、花巻東高の佐々木麟太郎選手が指名されなかったことについては、「セ・リーグ各球団のチーム事情を考えるとピッチャーが手薄な球団が多いことと、今年は良い大学生のピッチャーが多いということ。佐々木選手はアメリカの大学に行くかもしれないですし、セ・リーグの球団ではハマるところがなかった」とその理由を解説してくれた。

ピッチャーでは一番人気となった國學院大・武内夏暉投手 【写真:共同通信社】

 一方、パ・リーグの指名を担当した西尾さんが選んだ一巡目指名選手は次のようになった。井端さんとは対照的に4球団が佐々木選手を指名した。

■オリックス|常廣羽也斗 投手 青山学院大
■千葉ロッテ|佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
■福岡ソフトバンク|武内夏暉 投手 國學院大
■東北楽天|佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
■埼玉西武|佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
■北海道日本ハム|佐々木麟太郎 内野手 花巻東高


「日本ハムはピッチャーとも迷いましたが、今までの傾向でいくと、佐々木選手のような超大物の高校生は指名にいくと思います。西武とロッテは打線に課題があり、こういう大物選手を獲っていかないとと思いますし、楽天も迷いましたが、地元ですし、打線の核が欲しいと思います」

 佐々木選手の指名について、西尾さんはこのように解説する。

 指名が重複したのは、青山学院大・常廣投手(中日、オリックス)、花巻東高・佐々木選手(日本ハム、西武、楽天、ロッテ)、國學院大・武内投手(巨人、DeNA、ソフトバンク)。大阪桐蔭高・前田投手は阪神、霞ヶ浦高・木村投手は広島、東洋大・細野投手はヤクルトにそれぞれ単独指名され、交渉権確定となった。

 有望選手がそろった大学生ピッチャーの中で一番人気になったのが國學院大の武内投手だったこと、ドラフトの目玉とも評価されている細野投手がヤクルトの単独指名となったことには、井端さんも西尾さんも少し驚いていた。これがやってみないと分からない、指名シミュレーションの面白いところだ。

 指名が重複した場合は本番同様に抽選も行われ、常廣投手は中日、佐々木選手はロッテ、武内投手はDeNAが、それぞれ当たりくじを引き当てた。

 中日担当としてクジを引き、見事に常廣投手を引き当てた井端さんは「うれしいですね、これ! 与田(剛/前監督)さんの気持ちが分かります」と満面の笑みで将来のエース候補獲得を喜んだ。一方で、同じ古巣の巨人担当として武内投手を外したことに対しては「申し訳ないです……」と声を小さくした。

 抽選を外した4球団の再指名は、1回目の指名と同様に指名選手の名前を書いた紙を編集部に渡す形で行われ、西尾さんが入札した選手の名前が読み上げられる。

「第一巡選択希望選手、北海道日本ハム、下村海翔、投手、青山学院大学」

 この指名に井端さんが思わず苦笑い。井端さんも巨人の外れ1位として下村投手を入札していたのだ。

 楽天、ソフトバンクも中央大・西舘勇陽投手の指名が重複し、外れ1位でまたも抽選が行われることになった。一方で、西武は甲子園を沸かせた左のスラッガー、広陵高・真鍋慧選手、オリックスは名城大の156キロ右腕・岩井俊介投手を単独で指名し、それぞれ交渉権確定となった。

 下村投手、西館投手の抽選の結果は、それぞれ日本ハム、ソフトバンクが当たりくじを引き当てる結果となった。

 外れの外れとなった3度目の1位指名では、巨人担当の井端さんが亜細亜大・草加勝投手を指名。武内投手、下村投手と二度抽選を外したが、巨人の1位は最後まで先発投手にこだわった。「まだ線は細いですけど150キロくらいのスピードとフォークボールがあって、カーブもある即戦力」と井端さんは評価したが、「2位での指名をイメージしていた」と本音も覗かせた。

 巨人と同じく、佐々木選手、西館投手(※花巻東高出身)と地元の逸材を二度外した楽天は、西尾さんが享栄高の左腕・東松快征投手を指名。これで12球団の1位指名選手が出そろった。

 一巡目指名の内訳は、高校生5人(投手3、内野手2)、大学生7人(投手7)、社会人0人という結果になった。

【一巡目指名結果】
■オリックス
×常廣羽也斗 投手 青山学院大
◎岩井俊介 投手 名城大
■阪神
◎前田悠伍 投手 大阪桐蔭高
■千葉ロッテ
◎佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
■広島東洋
◎木村優人 投手 霞ヶ浦高
■福岡ソフトバンク
×武内夏暉 投手 国学院大
◎西舘勇陽 投手 中央大
■横浜DeNA
◎武内夏暉 投手 国学院大
■東北楽天
×佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
×西舘勇陽 投手 中央大
◎東松快征 投手 享栄高
■読売
×武内夏暉 投手 国学院大
×下村海翔 投手 青山学院大
◎草加勝 投手 亜細亜大
■埼玉西武
×佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
◎真鍋慧 内野手 広陵高
■東京ヤクルト
◎細野晴希 投手 東洋大
■北海道日本ハム
×佐々木麟太郎 内野手 花巻東高
◎下村海翔 投手 青山学院大
■中日
◎常廣羽也斗 投手 青山学院大

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