湘南・杉岡大暉×川崎F・山根視来が特別対談 国立の“神奈川ダービー”へ盟友が心中明かす
国立決戦を前に盟友が特別対談! 【佐野美樹】
4度目の戦いへ思うところは?
対談は終始笑顔で行われた 【佐野美樹】
山根 あらためて話すことないよな。ちょこちょこ話してるから。
杉岡 うん(笑) だって今年もう3回対戦してますもんね。
山根 試合のあと、いつも話してるよね。
杉岡 だいたい話してますね。
――試合を振り返ることもありますか?
山根 ああ、そういう話をするときもありますね。なにが嫌だったとか、あの選手がいいとか嫌だとか。
杉岡 そう、そんな話をしてますね。
――たとえば3節はどのように振り返りますか?ベルマーレが先制し、川崎フロンターレが終盤追いついて、1-1で引き分けた試合です。
山根 覚えているのは、大暉が「山田新よくないっすか?」っていう(笑)
杉岡 そうそう、だいたいそう(笑) 今年はほんとにそれです。
山根 あいつはほんとに能力が高いよ。あのスピードとパワーは日本人ではなかなかいない。あいつのインソールを見たことがあるんだけど、指と土踏まずと踵のところだけめくれ上がってるんだよ。あんまりそんなふうにならないじゃん。
杉岡 ならないっすね(笑)
山根 踏み込みが強すぎて、そこだけもうボロッボロなんだよ。とんでもないパワーだよ。
杉岡 僕らとの試合では全部途中出場なのかな?いつも流れを変えられてる。
山根 嫌だよな、あんな選手が途中から出てきたら(笑)
杉岡 嫌です(笑) フィジカルで押されて。
山根 いやあ強いよ。足も速いし。
――あの試合、ベルマーレの入りはよかったですよね。
杉岡 あれは勝てた試合だったと思います。いい時間帯に先制して、あとは守れればというところで、ちょっとアンラッキーな形で追いつかれてしまった。もったいなかったなと思います。
山根 そうだな。
――山根選手はあの試合をどう振り返りますか?
山根 正直、「またか」って感じでしたね。湘南には去年シーズンダブルをやられているので。
杉岡 そうですね。僕らもそのイメージでした。
――一方、ルヴァンカップはグループステージ第2節が0-0、同第6節はベルマーレが2点リードしながらフロンターレが終盤3点を奪って逆転勝利を収めました。
杉岡 あの試合は前半からフロンターレにかなり持たれて、いままでとはちょっと違う展開だったと思うんですよね。それまでは守備がハマって良い奪い方をして、という試合展開でしたけど、そういう形は前半の最初のほうだけで、20分以降はずっとボールを動かされていたと思う。それで最後にポンポンポンと決められてしまった。
山根 あのときも山田新が(笑)
杉岡 あの試合もそうですね。
――いままでの展開とは違ったという話ですが、フロンターレとしてはどうでしたか?
山根 今年3回目だったので、難しくなることは分かったうえで試合に入りましたし、たぶん相手はこれ嫌なんだろうなと、相手目線に立ってプレーすることはベルマーレと対戦するときはとくに大切かなと思います。
杉岡 フロンターレの交代選手のテンションはかなり高かったですよ。ギラギラしていたというか、「俺らで流れを変えてやるぞ」みたいな想いを持って入ってきて、たぶんそれでリズムが変わったんですよね。
山根 そうだね。(途中出場の選手の)毛色が違っていたかもしれないね。
杉岡 そうですね。小塚(和季)選手、瀬古(樹)選手、山田新選手……。
山根 うん。前に、というエネルギーを強く出してくれていた。でも運もあったと思うよ。最後シュートがDFに当たって入ったもんね。
杉岡 まあそうですね。ただ、あいだに縦パスを通される回数は、今までではたぶんいちばん多かったと思います。脇坂(泰斗)くんにもやられていたイメージがある。
――対戦するときはお互いマッチアップなど意識しますか?
山根 それはしますよ(笑) 気になります。できれば知らないひととやりたいです。
杉岡 たしかに(笑) それはそうですね。
2人の出会いは…?
山根 時代とともに戦術的なクラブが増えてきているのは間違いないので、自分たちにだけ目を向けていたら必ず対策されるし、そのなかでいかに勝点を取っていくかという話。選手も入れ替わっているし、そういう時期なのかなと思っている。でも確実に春先より良くなっているので、積み上げることができていると思っています。
杉岡 僕らはここ数年、主力選手が抜けているわけではないから、そこはフロンターレとは違うと思います。ただ、たしかに相手に嫌なことをやられる場面は確実に増えていますね。
山根 僕は湘南の試合をほとんど観ているので、いい攻撃をしているなとか、相手がやりづらそうにしているなとか、そういうゲームが基本的に多いと思っているので、だからもったいないというか、ほんとにあとゴール前のこれを守れていたら勝点3だったのにって思います。このまえの試合(第23節新潟戦)もラストに追いつかれたよね?
杉岡 はい。
山根 5位以内を目指していることも僕は知っているし、現実的な目標なんだろうなと、あのサッカーをして勝点を拾っていけばそうなっていくんだろうなと思っていた。でも難しいよね。ひとつの負けによって自信をなくすことってあるじゃん。
杉岡 ほんとに、それはありますよね。いい内容なのにフロンターレに勝ち切れなかったように、序盤戦はああいうゲームばかりだったんですよ。
山根 そうだよね。
――2人が湘南でチームメイトだった頃の話を聞かせてください。山根選手が大卒1年目の2016年に当時高3の杉岡選手は練習参加していますが、お互いの記憶はありますか?
杉岡 視来くんがいた記憶はないですね(笑) 怪我してたんじゃないですか?
山根 大暉はいつ来た?
杉岡 夏前かな……。
山根 じゃあもう復帰して練習やってるよ。
杉岡 ああ、いたいた! 俺、同じサイドで一緒に出た記憶あるわ。このひとドリブルすごいなと思った。
山根 噓でしょ? 俺はドリブル全部引っかかってた記憶だけどな(笑)
杉岡 いや、一緒にやってますね(笑)
――山根選手は覚えてない?
山根 正直、自分のプレーで精いっぱいだったので、新しく入ってくる選手のことなんて……(笑) あと高校選手権のときに馬入の練習場を使ってたよな?
杉岡 ああ、そうですね。選手権のまえに青森山田と馬入で練習試合をやりました。
山根 選手権がこれからあるのは分かっていたので、そのときに「頑張って」と声をかけた記憶がありますね、何人かで歩いてるときに。
杉岡 土手の階段のあたりですよね。
山根 そう、階段のところ。
――山根選手は、プロ1年目は怪我からスタートし、J1での出場はなし。カップ戦の出場も少なく、降格も味わって苦しいシーズンでした。よく乗り越えましたね。
山根 ほんとですね(笑) でも当時はキャリアも経験もなかったので、仕方ないと思っていました。
杉岡 そのとき何歳ですか。23?
山根 そう、1年目だから。
杉岡 すごいな、そこから這い上がったんですね。
山根 そうだな、這い上がったな(笑)
杉岡 雑草魂すごいっすね。
――翌2017年に杉岡選手が湘南に加入し、2人はセンターバックの左右で主軸を務めます。当時お互いをどう見ていましたか?
山根 俺の5個下だっけ?
杉岡 はい。
山根 でも一緒にデビューしたし、年下ではなく、同じ目線でずっと見ていますね。
――ライバルのような。
山根 ああ、そうですね。大暉はすぐに点を決めたじゃないですか(第2節群馬戦)。勝ったのはうれしいけど、なんかちょっと悔しいな、でもそんなこと言ってる場合じゃないしみたいな。自分は24で、大暉は19じゃないですか。「すげえな、くっそー」みたいな(笑) そう思ってましたよ。
杉岡 そうなんですね(笑) でもやっぱり左右で比べますよね。
山根 そうだよね。
杉岡 うん。ああ、あっちのほうがいい攻撃してるなとか(笑)
山根 あはは(笑)
杉岡 けっこう比べてました。