湘南・杉岡大暉×川崎F・山根視来が特別対談 国立の“神奈川ダービー”へ盟友が心中明かす

隈元大吾

代表で再びチームメイトに

二人とも異口同音にルヴァンカップの優勝が2018年における最も印象的な出来事と振り返る 【Photo by Etsuo Hara/Getty Images】

――そして昨年はともにE-1サッカー選手権の日本代表メンバーに選ばれ、香港戦では左右のサイドバックで一緒に先発しました。2人が当初ベルマーレで3バックの左右を務めていたことを思うと感慨深いものがありました。

山根 そうですよね、たしかに。(真ん中に)アンドレ・バイアがいないぐらいですよね(笑)

杉岡 たしかに(笑)

山根 いまでもバイアからたまーにメッセージが来ますよ。「ヤマネ、オメデトウ」って。

杉岡 そうなんですね(笑)

山根 ただ、代表は誰がどうこうではなく、結果を残し続けなければいけないと思っていたので、あんまりそこを考えている余裕はなかったかな。

――話はしましたか?

杉岡 僕がいっぱい聞きました。しばらく4バックをやっていなかったし、鹿島でも1年半しかやっていなかったので、E-1はもう全然ダメだった。だから視来くんにポジショニングとかいろいろ聞きました。

山根 引いてくる香港に対して、大暉はすごく高い位置を取っていたんですよ。4バックをやってないからそれは仕方ないんです。気持ちもめっちゃ分かるけど、相手のシャドーだかウイングバックだかと距離が近くて、それでも縦パスをつけなければいけないということで無理やり前を向いて引っかかるシーンが多かった。それで「どうしたらいいですか?」って言うから、ああいうときはこうしてるかなとか、そういうのは伝えましたね。いやあ、でも難しいですよ。僕がいま3バックをやれと言われても、なかなか難しい。距離感が全然違うよね。

杉岡 違いますね。

山根 どこまで絞ったらいいのかなとか。難しいっす。

――山根選手はよく考えてプレーしていますね。

山根 いや、考えてるだけで実行する力がないんですよ。ノボリくん(登里享平)とかすっごく頭いいですよ。あの2人(登里&阿部浩之)は同じサイドでプレーしてたから……。

杉岡 俺も視来くんにそれを聞いてたから、そういうひとがいたらなってずっと思ってたんですよ。そうしたら阿部くんが湘南に来て。E-1で視来くんにアドバイスをもらって、帰ってきたら阿部くんが入ってきて、俺的には重なった感じです。

山根 あのひと頭めっちゃいいよな。敵チームでやってても分かるわ。嫌なところにパス出すなってめっちゃ思うよ。

杉岡 あのひとはすごいです。しかも、ちょうどいいテンションで、ちょうどよく言語化してくれる。怖くもなく、かといって優しすぎるわけでもなく。

山根 ちょうどいいんだ(笑)

杉岡 ちょうどいいっす(笑) 説得力あるし。

山根 なるほどね。試合中「スピードを上げるな」って言ってるのを聞いたりすると、やっぱり展開を読んでいるんだなって思う。

杉岡 そりゃ川崎強いわって思いますよね。

山根 そういう選手がいっぱいいたもんね。

杉岡 そう。そりゃあすごいわって。

山根 頭を使ってサッカーするって難しいよな。

杉岡 難しいです、ほんとに。でも視来くんはすごく考えてる。昔からそうですよね。拓也くんと右サイドでけっこういろんな話をしていましたもん。

山根 怒られてただけよ(笑)

杉岡 左サイドはカズくん(大野和成)と俺だから、とくに話もしないで感覚でやってるところがあるから(笑) あっちは考えてやってるなって思ってた。

山根 拓也くんにLINEで「どうやってパス出してた?」って聞かれたことあるよ。俺けっこう拓也くんにスルーパスを出してたから。

杉岡 こっちは勢いでやってましたよ(笑)

山根 左右対称である必要はないからね。

初めての新国立へ…

聖地でのプレーへ「国立の力を借りて」と意気込む山根 【佐野美樹】

――日本代表に対する想いも伺えますか?

山根 現状いまの代表の選手たちを見ると、僕の今年のパフォーマンスでは厳しいし、活躍し続けないと呼ばれないのは分かっている。代表を引退する気はないし、もう1回代表のユニフォームを着てプレーしたいと常々思っています。

杉岡 去年ああやってA代表を経験させてもらい、カタールワールドカップに視来くんが出ているのを見て刺激にならないはずはない。自分もいずれは出たいですけど、まずはチームを上に行かせなければいけないですし、そこは重々分かっています。

――では最後に、今回の湘南×川崎Fについて聞かせてください。2人のマッチアップがいまから楽しみです。

山根 見られるんじゃないですか。大暉がウイングバックならなおさら。

杉岡 そうですね。

山根 あと同サイドは、「カズナリオオーノー」(*チャント風に)でしょ?

杉岡 あはは(笑)

――ルヴァンカップを合わせて2分1敗と、ベルマーレは今季フロンターレに一度も勝っていません。

杉岡 ああ、そうですね。でもやりづらさは感じないですね。苦手意識は全然ないし、いい試合になるんじゃないかなと思います。

山根 自分たちのやりたいことだけでなく、湘南に対して嫌なプレーをもっと増やそうかなと個人的には思っています。でも葛藤ですね。やっぱり難しいですよ、サッカーって。

――そして今回は、ベルマーレのJリーグ加盟30周年記念事業として、国立競技場での開催となります。

杉岡 新しい国立は初めてですけど、僕は高校サッカー出身なので、「聖地」であることは変わらないですね。

山根 もちろん湘南が相手だとモチベーションは違うし、お客さんもいっぱい入ると思うので、国立の力を借りて、とにかくポジティブなエネルギーに変えて試合をしたいなと思います。

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著者プロフィール

湘南ベルマーレを中心に取材・執筆。クラブオフィシャルの刊行物をはじめ、サッカー専門誌や一般誌等に幅広く寄稿。

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