「超人間級」の冷静さで日本を引っ張る河村勇輝 ベネズエラ戦で見せた密かなファインプレーとは?
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大舞台でも試合を決めるビッグプレー
その直後、アメリカから河村に賛辞が飛んできた。175センチの小兵ながらNBAで活躍したアイザイア・トーマスはX(旧ツイッター)でこう呟いた。「彼は最高だった!俺らスモールガードは団結していこう!」
河村は2022-23シーズンに1試合平均19.5点、8.5アシストを記録し、B1のMVPを獲得。シーズン中から試合終盤の「クラッチタイム」では圧倒的な勝負強さを見せていた。例えば22年12月4日の宇都宮ブレックス戦では残り0.5秒から逆転3ポイントシュートを決め、チームを念願の「対ブレックス初勝利」に導いている。そして横浜ビー・コルセアーズを初のチャンピオンシップ出場、ベスト4に引っ張り上げた。
それに近いレベルの活躍を、河村は国際試合でも見せている。トム・ホーバスヘッドコーチが試合後に漏らした「あれはBリーグの河村ですよね」というコメントは、もちろん称賛の意味だ。この若者は世界の大舞台でも、第4クォーターの勝負どころで試合を決めるビッグプレーをしている。
W杯でも「学習能力」を見せる
「クレバーな選手、スマートな選手かなと思いました。スピードだけではなくて、ミドルジャンパーであったり、しっかりと自分たちのビッグマンを引き寄せてロングパスでアリウープを演出したり、流れを持っていくようなプレーができる。自分たちの流れが来たタイミングでしっかりと(相手を)シャットアウトして、その流れを持っていかれないようにするタイミングのシュートを決めたりして、そこは本当にスマートだなと思いました」
2日後のフィンランド戦を見たら、河村は早速「日本に流れを引き寄せる」「自分たちの流れが来たタイミングで相手をシャットアウトする」ようなプレーを実現していた。そのような学習能力、キャッチアップの早さは典型的な河村らしさだ。
守備、ハードワークも強み
「今日の流れを作ったのは、間違いなくまず河村勇輝。PGにめちゃくちゃプレッシャーをかけてくれて、相手はやりたいバスケットが途中からできなくなっていた。彼がフルコートで相手のPGにプレッシャーをかけて、持ちたいところでボールを持てなかったりした。それを彼がまず先頭に立ってやってくれたのが大きい」
W杯は中1日で試合が進む強行日程で、PGは消耗が大きいポジション。河村は1試合平均で22.7分のプレータイムを得ていて、負荷の大きいクロージングを任される試合も出ている。そんな第4クォーターになっても、彼はプレッシャーディフェンスや攻撃の質が落ちない。172センチ、山口県生まれの22歳は単純にハードワークと、それを実現するフィジカルがすごい。
結果として「自分が輝くスタイル」に
河村は6月の段階でこのようなコメントをしている。
「Bリーグでやっているときと、代表でやっているときは役割が違います。元々、自分は他の選手を活かすのに特化したPGだと思うので、代表に来て、それをやるべきだと思っています」
自分は本来「バランス/コントロール型」で、代表ではそのようなスタイルを意識するという意味だ。ただ、これについては公約違反かもしれない。何も知らずに試合のハイライトを見たら、河村は典型的な能力系に見えるだろう。実際ここまでの4試合は平均13.5得点を挙げていて、十分に自分が輝いている。
アシストも1試合平均7.5と高レベルで、ベネズエラ戦の最終盤は比江島慎にパスを集めて爆発を引き出した。単純にチームを勝たせる最善策が自らのシュートだと感じたとき、それを打っているだけの話だろう。