村元哉中/高橋大輔、ルールのない新プログラムで披露した自由な滑り 『ポエタ』ではソロスケーターとしての魅力もみせる

沢田聡子

新プログラムはシングルとアイスダンスの融合

 公演後半では、“かなだい”としての新プログラム『Birds, Makeba』が披露された。エネルギーにあふれ、濃厚な表現と氷上に醸し出すグルーヴ感が堪能できる二人の真骨頂といえるプログラムに、観客は大いに沸いた。

「かっこいい、ダンサブルな、スタイリッシュなものを滑りたい」と考えた二人がシェイ=リーン・ボーン氏に振付を依頼。久しぶりにアイスダンスの振り付けをしたというボーン氏の熱量は高かったといい、「振り付けも4時間ぐらいぶっ通しで」と高橋は振り返る。

「前半がすごくジャジーでスタイリッシュ、後半は盛り上がるというか勝手に体が動き出すようなアフリカンな曲。夏に行われる『フレンズ オン アイス』ということで、楽しい感じをお見せできれば」(高橋)

 さらに、「ソロでも見どころがたくさん」と村元は説明する。「シングルとアイスダンスが融合したプログラムになっている」との村元の言葉通り、高橋がジャンプをした直後に村元がスピンをする振り付けもあり、競技のルールから解き放たれた自由な二人の姿が見られた。

 二人はパンツスタイルでこのプログラムを滑るが、その衣装は目の覚めるような極彩色だ。
「アフリカでも使われている柄を衣装さんが探して、10個くらいデザインを探していただいて。その中で自分達に合う・合わないを考えて、5パターンのデザインを使ってマッチするように作られた衣装でもあるので、その衣装のこだわりも一つの見どころかなと思います」(村元)
 鮮やかな衣装が氷上で夏の華やぎを表現する二人に映えて、プロとしての矜持を感じさせた。

 公演初日を迎えるにあたり、高橋は「自分達のナンバー以外にグループナンバーもあって、そちらの方もすごく大変なんですけれども」と前置きしつつ、意欲をみせている。
「かっこいいプログラムを一緒にやらせてもらえるという喜びを感じながら、それをお客さんに届ける。スタートから最後まで、思い切り全力でやっていきたいなと思っています」(高橋)

 真夏のリンクで、村元と高橋は自由に、そして華やかにプロとしての滑りを披露する。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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