慶應義塾の打線をけん引する1・2番コンビ 『KEIO日本一』のカギを握る丸田湊斗、八木陽

大利実

丸田(右)と八木(左)の一、二番コンビで打線をけん引 【大利実】

 投打がかみ合い、5年ぶりに夏の神奈川大会を制した慶應義塾。打線を引っ張り続けたのが、丸田湊斗、八木陽の一、二番コンビである。

 丸田が24打数15安打、打率6割2分5厘とハイアベレージを残すと、八木は22打数10安打、打率4割5分5厘。さらにチームトップの5犠打をマークし、つなぎの役割を十二分に果たした。

 準々決勝から決勝まで、2人に打席が回ったことが14度あったが、どちらも出塁できなかったケースはゼロ。長打力のある主軸の前にチャンスを作り続けた。

打率6割超えの一番打者・丸田湊斗

投手のクセを盗む目にも長ける俊足の丸田 【大利実】

 横浜泉中央ボーイズ出身の丸田は、「将来の選択肢を増やすために、野球と勉強を両立できる環境」として慶應義塾を受験した。中3時の内申点はほぼオール5だったという。

 入部時はショートだったが、50メートル6秒前半の足を生かすために外野に回り、1年秋からレギュラーをつかんだ。ミート力に長けたバッティングが特徴で、ヒットゾーンが広い。

 今夏、好調の要因については、「いい準備ができて、打席に入れていること」と自己分析している。その象徴とも言えるのが、横浜との決勝戦、3回表の第二打席だ。対するは、左腕・杉山遙希。「左にはスライダーでカウントを取ってくる」というデータ班の分析を信じ、外のスライダーだけに狙いを定めていた。

 中寄りの甘いスライダーを見事に捉えると、打球は左中間を抜ける適時三塁打。このあと、八木がセンターに犠牲フライを放ち、幸先よく2点を先制した。

 一打席目もスライダーを狙っていたが、1ボールから引っかけて、ファーストゴロに終わっていた。その反省を生かし、第二打席はタイミングの取り方を変えた。

「目線のブレをなくすために、ノーステップにしました。得点圏だったので、一発で仕留めたい。前日の練習で、エネオスの渡部淳一さんのスライダーをノーステップで打ったときにもいい感覚を持てたので、自信はありました」

 前日、2018年の甲子園メンバーである左腕・渡部がバッティングピッチャーを務め、杉山対策に時間を充てた。これまでの丸田は2ストライクと追い込まれてからノーステップにすることがあったが、最初からするのは初めてのこと。入念な「準備」が先制点を呼び込んだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント