沖縄で開催されるバスケのW杯はどんな大会? 24年パリ五輪の予選という側面も
渡邊雄太、ホーキンソンがインサイドの二本柱に
渡邊雄太(写真中央)は前回大会に続きチームを引っ張る 【Photo by Lintao Zhang/Getty Images】
注目選手はまず渡邊雄太(サンズ/28歳)だ。206センチのサイズを持ちつつハンドリング、シュートのスキルが高いオールラウンダーだ。本来はスモールフォワードだが、日本代表ではパワーフォワードでの起用が濃厚だ。尽誠学園高からプレップスクールを経てワシントン大に進み、「ドラフト外の2ウェイ契約(下部リーグに所属しながら、年間45日までNBAに出場できる仕組み)」から這い上がって現在の地位を築いている。NBAで5年のキャリアを積み、通算出場は179試合。その能力に加えて、アメリカの厳しい環境で自ら運命を切り開いたキャリアは称賛に値する。
バスケ界には「帰化選手」という概念があり、16歳以降に国籍を変えた選手は代表チームに1名しか登録できない。2019年のW杯はニック・ファジーカス、東京五輪ではギャビン・エドワーズが起用されたが、今回のW杯はジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷/28歳)が入る見込みだ。ホーキンソンは208センチ・106キロのオールラウンドなビッグマン。リバウンド、走力、シュート力に加えてホーバスHCが「日本のヨキッチ」と称賛するパス能力も持ち合わせている。3ポイントシュートがカギになる日本代表の戦術の中で、ホーキンソンのお膳立ては不可欠だ。渡邊、ホーキンソンはインサイドの“二本柱”になるだろう。
頼もしい若手の台頭
河村は東海大を2年で中退してプロ入りし、2022-23シーズンはB1のMVPに輝いたポイントガード。インサイドへのドライブ、パスの評価は当初から高かったが、昨季は「得意なプレーを封じられた状況」のプレーに成長を見せ、シュート確率も上がって手のつけられない選手になった。彼が格上の外国チームにどう立ち向かい、何を学ぶかは大きな注目点だ。
富永は188センチのシューティングガードで、左利きの天才シューター。桜丘高を卒業後にまずアメリカのコミュインティカレッジ(短大)に進み、3年からNCAAⅠ部の名門に転校した。八村や渡邊の登場で感覚が麻痺しがちだが「NCAAの強豪で中心として普通にプレーしている」のはスゴいこと。父・啓之氏は211センチの元日本代表センターで、母ひとみさんは156センチの左利きシューターだったが、息子は父のサイズと母のセンスを受け継いでいる。
ホーバスHCはキャリア、所属チームでのプレータイムに関係なく選手を試し、吉井裕鷹(アルバルク東京)や井上宗一郎(越谷アルファーズ)のように「所属チームでは控えでも代表では主力」という逆転現象も起こった。それは新しい人材の発掘に熱心だった証明だろう。
日本はまずドイツ戦で「世界を驚かせ」たい
とはいえ大切なのはまず「目の前の結果」だろう。ホーバスHCは8月25日に組まれた初戦・ドイツ戦の重要性を繰り返し口にしている。徹底的な対策に加えてある程度の「ギャンブル」も必要になるだろうが、ドイツに対して世界を驚かせる結果を出すことが、チームの至上命題となる。
若く伸びしろを残したチームだけに、24年のパリ五輪でもホーバスジャパンのさらなる成長をぜひ見たい。世界の強豪が見せる熟練のプレーと、日本代表のフレッシュな戦いが今から楽しみだ。