バスケW杯で活躍が期待される“桜木花道” 川真田絋也の異色な経歴、プレーと「愛されキャラ」
川真田紘也は急成長でバスケW杯のメンバー入りに近づいている 【(C)JBA】
残念ながらNBAのスタープレーヤー八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)は、6月末にW杯の出場辞退を表明している。国際レベルのビッグマンが少ないことは日本のいわば宿命だ。ホーバスHCは渡邊雄太(フェニックス・サンズ)をスモールフォワード(SF)からパワーフォワード(PF)に移して、23年2月に日本国籍を取得したセンターのジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)と組ませることになるだろう。
しかしバスケという競技の特性上、2人だけで80分を埋めるのは難しい。コンタクトプレーによる消耗、ファウルトラブルなどのアクシデントを考えれば、二人が不在の時間を“つなげる”選手の台頭が不可欠だった。
NBAプレーヤーも川真田の活躍を称賛
日本は韓国戦、ニュージーランド戦とも渡邊とホーキンソンをエントリーせず、「飛車角落ち」の陣容で戦っていた。川真田、渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス)、井上宗一郎(越谷アルファーズ)といった“セカンドユニット候補”に経験を積ませつつ、見極める狙いだろう。川真田は間違いなく、本番のメンバー入りに向けてアピールができていた。
川真田は204センチ・110キロの25歳。走る、跳ぶ、競り合うといった身体を張ったプレーが持ち味で、数字以上の貢献ができるハッスルプレーヤーでもある。
ニュージーランドとの対戦を終えた川真田はこうコメントしていた。
「(渡邊)飛勇と俺でやって、そんなに負けているつもりなかったんですけど、フィジカル面の差はやはり出ていました。ただW杯は絶対そういうチームと当たるので、そこでアジャストしなければいけません。逆に言えば今回フィジカルにプレーしてくるチームと当たれたのは、次の試合で自分を成長させるチャンスと考えられます」
渡邊雄太は2日の試合後に「間違いなく今日のMVP」というコメントとともに、川真田の写真をSNSにアップしている。ホーバスHCも試合後の記者会見でこう口にしていた。
「川真田も頑張っている。毎日うまくなっている感じです」
桜木花道を思い出させる川真田
「ベンチの目の前でリバウンドを取ったシーンをご覧になったでしょうか?あれが『SLAM DUNK』の桜木花道に見えて仕方ないです」
桜木花道との類似はプレー、キャラクターの両面だ。
「あの大きさや瞬発力は本当に桜木花道みたいです。両足が地面から離れた状態で身体を動かすことは難しいと思いますけど、彼はそこがいい。ルーズボールへの飛び込みやディフェンスも、桜木花道が机にぶつかって背中を痛めたシーンと変わりないくらい身体を張ります。それにすごく僕は感銘を受けています。あと、彼は愛されキャラなんです」
2022-23シーズンの開幕戦で、彼は髪を鮮やかなブルーに染めて登場した。滋賀の大宮健司広報はこう振り返る。
「特別指定選手として佐賀で過ごしたあとのルーキーイヤーで、初めてのプレシーズンゲームで金髪にしてきたんです。それでまずびっくりしました。2年目は宣材写真を撮影する前に、『今年は青にします』と言ってきたんです。プロとして『憧れを抱かれるクラブ』を標榜しているので、“チャラい”イメージは持たれたくありません。『ポリシーを持ってやるならいいよ』という判断で、社長と私で確認をして、『琵琶湖のブルーです』という説明だったのでOKをしました。ただ、しばらくして気づいたみたいですけど、青をキープするのは異常に難しいんです。すぐ落ちるらしくて(笑)」
メディアに向けたコメントもウイット、サービス精神に富んでいて、試合後のミックスゾーンには彼の周りに人垣ができる。ファンサービスにも積極的で、昨シーズンはコスプレ、被り物で入場したこともあった。