バスケW杯で活躍が期待される“桜木花道” 川真田絋也の異色な経歴、プレーと「愛されキャラ」

大島和人

川真田紘也は急成長でバスケW杯のメンバー入りに近づいている 【(C)JBA】

 バスケットボールのワールドカップ(W杯)はフィリピン、日本、インドネシアの共同開催で、8月25日に開幕する。日本の初戦は25日に沖縄アリーナで開催されるドイツ戦。トム・ホーバス率いる男子日本代表はチャイニーズ・タイペイ戦、韓国戦、ニュージーランド戦と本番に向けた強化試合を重ねている。

 残念ながらNBAのスタープレーヤー八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)は、6月末にW杯の出場辞退を表明している。国際レベルのビッグマンが少ないことは日本のいわば宿命だ。ホーバスHCは渡邊雄太(フェニックス・サンズ)をスモールフォワード(SF)からパワーフォワード(PF)に移して、23年2月に日本国籍を取得したセンターのジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)と組ませることになるだろう。

 しかしバスケという競技の特性上、2人だけで80分を埋めるのは難しい。コンタクトプレーによる消耗、ファウルトラブルなどのアクシデントを考えれば、二人が不在の時間を“つなげる”選手の台頭が不可欠だった。

NBAプレーヤーも川真田の活躍を称賛

 そんな中、センターの川真田絋也(滋賀レイクス)が7月22日・23日の韓国戦、8月2日・4日のニュージーランド戦で頼もしいプレーを見せた。2日は19分16秒の出場で2得点・4リバウンドを記録しチームの勝利に貢献。4日はチームが敗れたものの20分28秒プレーし、4得点・4リバウンド・3スティールを記録した。

 日本は韓国戦、ニュージーランド戦とも渡邊とホーキンソンをエントリーせず、「飛車角落ち」の陣容で戦っていた。川真田、渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス)、井上宗一郎(越谷アルファーズ)といった“セカンドユニット候補”に経験を積ませつつ、見極める狙いだろう。川真田は間違いなく、本番のメンバー入りに向けてアピールができていた。

 川真田は204センチ・110キロの25歳。走る、跳ぶ、競り合うといった身体を張ったプレーが持ち味で、数字以上の貢献ができるハッスルプレーヤーでもある。

 ニュージーランドとの対戦を終えた川真田はこうコメントしていた。

「(渡邊)飛勇と俺でやって、そんなに負けているつもりなかったんですけど、フィジカル面の差はやはり出ていました。ただW杯は絶対そういうチームと当たるので、そこでアジャストしなければいけません。逆に言えば今回フィジカルにプレーしてくるチームと当たれたのは、次の試合で自分を成長させるチャンスと考えられます」

 渡邊雄太は2日の試合後に「間違いなく今日のMVP」というコメントとともに、川真田の写真をSNSにアップしている。ホーバスHCも試合後の記者会見でこう口にしていた。

「川真田も頑張っている。毎日うまくなっている感じです」

桜木花道を思い出させる川真田

 日本バスケットボール協会の東野智弥・技術委員長は、4日のニュージーランド戦後にこう語っていた。

「ベンチの目の前でリバウンドを取ったシーンをご覧になったでしょうか?あれが『SLAM DUNK』の桜木花道に見えて仕方ないです」

 桜木花道との類似はプレー、キャラクターの両面だ。

「あの大きさや瞬発力は本当に桜木花道みたいです。両足が地面から離れた状態で身体を動かすことは難しいと思いますけど、彼はそこがいい。ルーズボールへの飛び込みやディフェンスも、桜木花道が机にぶつかって背中を痛めたシーンと変わりないくらい身体を張ります。それにすごく僕は感銘を受けています。あと、彼は愛されキャラなんです」

 2022-23シーズンの開幕戦で、彼は髪を鮮やかなブルーに染めて登場した。滋賀の大宮健司広報はこう振り返る。

「特別指定選手として佐賀で過ごしたあとのルーキーイヤーで、初めてのプレシーズンゲームで金髪にしてきたんです。それでまずびっくりしました。2年目は宣材写真を撮影する前に、『今年は青にします』と言ってきたんです。プロとして『憧れを抱かれるクラブ』を標榜しているので、“チャラい”イメージは持たれたくありません。『ポリシーを持ってやるならいいよ』という判断で、社長と私で確認をして、『琵琶湖のブルーです』という説明だったのでOKをしました。ただ、しばらくして気づいたみたいですけど、青をキープするのは異常に難しいんです。すぐ落ちるらしくて(笑)」

 メディアに向けたコメントもウイット、サービス精神に富んでいて、試合後のミックスゾーンには彼の周りに人垣ができる。ファンサービスにも積極的で、昨シーズンはコスプレ、被り物で入場したこともあった。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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