今夏の高校野球「フォロー増加数」トップ20は? 波乱&激戦の地方大会を振り返る【10位~1位】
5位:履正社(大阪)
大阪大会を制したのは履正社だった。4年ぶりの夏甲子園で4年ぶりの優勝を目指す 【写真は共同】
2020年の独自大会を除いて夏の直接対決12連敗中だった宿敵を下し、大阪代表として堂々と甲子園の舞台に立つ。
ノーシードから勢い良く勝ち上がった。夏初戦となった2回戦で大阪公大高専を23対0で下すと、続く3回戦で大阪産大付を10対3、4回戦では英真学園を7対0、さらに5回戦で八尾を11対0、準々決勝でも大阪を8対1と5試合連続のコールド勝ち。準決勝では関大北陽に3回表に4点を奪われて2対4と逆転されるも、直後の3回裏に3点を奪って再逆転。その後も突き放して8対4で勝利した。
そして迎えた決勝戦、相手は夏の大阪大会12連敗中(独自大会の2020年を除く)、決勝でも5度の対戦で全敗していた宿敵・大阪桐蔭。世代ナンバーワン左腕の前田悠伍(3年)を相手に、2回に相手ミスを突いて1点を先制すると、4回に2死満塁から9番・野上隼人(3年)の2点タイムリーで3点をリードすると、先発したエース右腕・福田幸之介(3年)が大阪桐蔭打線を5回までヒット1本に抑えると、6回以降も隙を与えずに9回3安打無失点の快投で3対0の完封勝利を収めた。
つかみ取った4年ぶりの甲子園切符。4年前の2019年大会のように全国の頂点に立つことができるか。大阪桐蔭を倒したチームに、その力がないはずがない。
4位:習志野(千葉)
あと一歩で涙を飲んだが、その戦いぶりは胸を張り、誇るべきものだった。
夏初戦となった2回戦で八千代に8対5の辛勝スタートとなったが、続く3回戦で銚子商に12対0、4回戦で成田国際に16対1、5回戦で千葉明徳に10対1と投打の噛み合った戦いで3試合連続のコールド勝ち。そして準々決勝では、昨秋の地方大会2回戦で8対9で敗れた市船橋と対戦。この試合は、4年ぶりの声出し応援解禁、そして美爆音で知られる習志野吹奏楽部の「レッツゴー習志野」と「市船ソウル」の応援対決としても大いに盛り上がった。その中で、初回の4番・佐藤鷲哉(3年)の先制打から小刻みに得点を重ねると、エース・湯浅夏樹(3年)が9回9安打1失点(自責0)の力投で4対1の勝利を収めた。
その勢いを持って準決勝で千葉商大付に8対0と大勝して決勝進出を果たした。だが、最後は専大松戸に7対8のサヨナラ負け。7回を終えて7対5と2点リードをしていたところから逆転される悔しい最後となった。それでも春の対戦時には0対8と完敗した相手を土俵際まで追い詰める堂々たる戦いぶりだった。
3位:横浜(神奈川)
春夏通算36回の甲子園出場を誇る名門は今年、1年生時から試合に出場するエース・杉山遥希(3年)、主将・緒方蓮(3年)の2人を中心に3年連続の夏の甲子園を目指した。
決勝までは万全の戦いぶりだった。2回戦から登場し、上溝に9対0、戸塚に10対1、湘南工大付に13対3、湘南に7対0と4試合連続コールド勝ちでベスト8入り。準々決勝では、春の地方大会で3対4で敗れた相洋に5対0、杉山が自己最速を更新する147キロを計測した上で完封劇を演じてリベンジに成功した。そして準決勝では杉山を休ませた中で打線が爆発し、横浜商大高に12対2の6回コールド勝ちを収めた。
だが、最後の最後で落とし穴があった。慶応との決勝戦。6回に3点を奪って逆転に成功し、8回を終えて5対3とリードするも、土壇場の9回表に際どい判定で走者を背負った後に杉山が逆転3ランを被弾して無念の逆転負け。補欠校となったセンバツ大会に続き、夏も甲子園まで“あと一歩”で涙を飲んだ。
2位:仙台育英(宮城)
昨夏に全国制覇を果たしたチームをベースに、打線は勝負強く、自慢の“最強投手陣”は評判通りのピッチングを続けた。
今夏初戦となった2回戦で大崎中央を8対1で一蹴すると、続く富谷に12対0と大勝した。そして準々決勝でセンバツ出場校の東北との“黄金カード”を迎えると、初回に4番・齋藤陽(3年)のタイムリーで1点を先制し、8回には5番・齋藤敏哉(3年)がエース・ハッブスから満塁弾。投げては“153キロ右腕”湯田統真(3年)が東北打線を5安打完封に抑えて5対0の勝利を収めた。
最大のライバルを下せば、もう敵なしだった。準決勝で東陵を8対1で8回コールド勝ち。決勝では仙台城南を相手に打線が18安打18得点と爆発すれば、投げては背番号1の髙橋煌稀(3年)から仁田陽翔(3年)、田中優飛(3年)、そして湯田が完封リレーを見せて18対0の完勝を収めた。
地方大会5試合で計51得点2失点、チーム打率.390、チーム防御率0.23という圧巻の成績。威風堂々と2004、05年の駒大苫小牧(南北海道)以来、史上7校目の「夏連覇」に挑戦する。
1位:大阪桐蔭(大阪)
想定外に早く「夏」が終わった。春のセンバツ大会ベスト4、そしてドラフト1位候補のエース・前田悠伍(3年)を擁し、甲子園開幕前から優勝候補と言われていたが、大阪での「2強対決」に屈した。
準決勝までの勝ち上がりは順調だった。2回戦で早稲田摂陵を8対1、3回戦で淀川工科を12対1、4回戦で東海大大阪仰星を10対2、5回戦で大冠を15対3、さらに準々決勝でも大体大浪を11対2で下し、5試合連続のコールド勝ち。だが、箕面学園との準決勝では打線が振るわない。5回まで2安打のみで、7回を終えて1対2という状況。8回に代打・長澤元(3年)のタイムリーで追い付き、延長タイブレークの末に2番・山田太成(3年)のサヨナラ打が生まれたが、本来の破壊力は鳴りを潜めた。
準決勝翌日に行われた決勝戦でも“悪い流れ”は続き、履正社のエース・福田幸之介の前に散発の3安打のみ。そして休養十分で臨んだ前田が2回に1点、4回に2点を失い、0対3の完敗を喫した。前年度優勝校を上回り、今夏の地方大会で最も大きな関心を寄せられたチームだったが、その期待と注目に応えることはできなかった。
だが、またここが新たなスタート地点になる。準決勝で好投した境亮陽、平嶋桂知の投手陣、徳丸快晴、ラマル・ギービンラタナヤケの3、4番は、いずれも2年生。ひと足早く始動することになる新チームの動向もチェックしてもらいたい。