連載:今を輝くプロ野球選手の高校時代

今を輝くプロ野球選手たちの高校時代【阪神編】 今季ブレイク中の右腕はセンバツ優勝投手だった

三和直樹

村上は智弁学園のエースとして2016年春の甲子園を制した 【写真は共同】

 第105回目を数える夏の甲子園大会へ向けて、高校球児たちがすでに熱い戦いを繰り広げている。今回は彼らの「先輩」であるプロ選手たちの高校時代にスポットライトを当てる。
 セ・パ12球団別に選手3名ずつをピックアップし、甲子園での活躍を振り返りたい。今回は阪神編だ。今をときめくスター選手の高校時代を振り返るとともに、ぜひ先輩たちの後を追いかける高校球児の活躍もチェックしてほしい。

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村上頌樹:智弁学園(奈良)

 プロ3年目の今季、先発として6月までに6勝&防御率1点台とブレイクを果たしている右腕は、高校時代からその類まれな才能を大舞台で披露していた。

 1年夏からベンチ入りし、1年夏に甲子園デビュー。1年秋からエースになるも2年時は甲子園には届かず。だが、2016年春の甲子園で村上は躍動する。初戦の福井工大福井(福井)戦で9回10安打無失点、続く鹿児島実(鹿児島)戦で9回6安打1失点で勝利すると、準々決勝の滋賀学園(滋賀)戦では9回2安打無失点の快投。準決勝の龍谷大平安(京都)戦でも9回7安打1失点(自責0)に抑え、抜群の安定感とスタミナ、投球術で勝ち上がった。そして決勝では高松商(香川)を相手に延長11回を8安打1失点、打っても自らサヨナラ二塁打を放つ活躍。大会を通して5試合の全47イニング669球を投げ抜き、被安打33ながら自責2の防御率0.38の成績で、同校の甲子園初優勝の立役者となった。

 だが、この男も他の多くのセンバツ優勝投手と同じく、夏は早期敗退となった。奈良大会を勝ち抜いて甲子園出場を果たし、1回戦では出雲(島根)を9回5安打1失点に抑えたが、続く2回戦の鳴門(徳島)戦では河野竜生(現日本ハム)との投げ合いに敗れる形で9回を8安打5失点(自責2)で大会を去ることになった。

 当時、村上に対する評価は分かれていた。伸びのあるストレートと制球力、優れたゲームメイク能力には疑いようがなかったが、球のスピードに目立ったものはなく、174センチという身長からくる将来性に対しては疑問視する声もあった。だが、進学した東洋大での成長を経てたどり着いたプロの舞台で、見事なピッチングを披露。懐疑論を覆している。

 智弁学園は2021年夏にも甲子園で決勝まで勝ち進むも、智弁和歌山との“同門対決”に敗れて準優勝。これまで夏の甲子園は通算20回の出場も優勝の経験はない。今年こそ“悲願達成”なるか。注目の強打者・松本大輝(3年)を擁する近畿大会王者として、まずは甲子園切符をつかみ取りたい。

井上広大:履正社(大阪)

 虎の未来を背負う高卒4年目スラッガーは、夏の甲子園での活躍が記憶に新しい。

 1年夏からベンチ入りし、1年の秋から外野のレギュラーとなり、2年秋から4番を任せられた。それまでは1学年上の“ミレニアム世代”を揃えた大阪桐蔭の前に甲子園への道を閉ざされてきたが、彼らが卒業した後の近畿大会で3本塁打11打点と爆発してチームを4強入りに導き、2019年春のセンバツ大会出場を果たした。だが、今度は同学年の奥川恭伸(現ヤクルト)が目の前に立ちはだかる。初戦で星稜(石川)と対戦すると、0対3の完封負け。チームで計17奪三振を喫し、自身も4打数無安打2三振と完璧に抑え込まれた。

 だが、その経験が井上の闘志に火を付けた。「打倒・奥川」という目標と物差しを手に自らの打撃を磨き直し、不振を乗り越えて進化に成功した。迎えた夏の甲子園では初戦の霞ケ浦(茨城)戦でいきなり2ランを放つと、その後も毎試合ヒットを放って決勝進出を果たす。相手は奥川擁する星稜。1点を追う3回表の第2打席で初球スライダーを捉えて逆転3ランを放ち、5対3で勝利。自らの“リベンジの一発”で深紅の優勝旗を手にした。

 井上や小深田大地(現DeNA)を揃えた強力打線で2019年に甲子園初制覇を果たした履正社は、今年は左腕エースの福田幸之介(3年)を中心にセンバツに出場するも、春の府大会で4回戦敗退。夏はノーシードからの登場で、7月15日に初戦を迎える。

中野拓夢:日大山形(山形)

 今春のWBCに出場し、シーズン開幕後も持ち前の俊足好打に堅守ぶりを存分に発揮している男は、高校時代にも甲子園で確かな足跡を残している。

 山形県天童市出身。隣の山形市にある日大山形に進学すると、2年夏から「2番・二塁」としてレギュラーの座を掴み、1学年上の奥村展征(現ヤクルト)と二遊間を結成した。そして2013年夏に同校6年ぶりの甲子園出場を果たすと、初戦の日大三(西東京)戦で2安打を放つ。準々決勝の明徳義塾(高知)戦では6回、8回と2打席連続で送りバントをしっかりと決めて味方の追加点に繋げ、「山形県勢初の甲子園ベスト4入り」に貢献した。

 チームは準決勝で髙橋光成(西武)擁する前橋育英(群馬)に1対4で敗れたが、自身は第1打席でセンター前ヒットを放ち、その後の飛躍を予感させるスイングを見せた。ただ、自身が主将かつショートとなった3年時の2014年は春夏ともに甲子園に出場できず。中野はその後、東北福祉大、三菱自動車岡崎を経て、ようやく甲子園の舞台に戻ってくることになった。

 今年の山形大会は、鶴岡東、日大山形、山形中央の3強の争いとなる見込み。日大山形のエース右腕・菅井颯(3年)は好投手だが、山形中央の左腕・武田陸玖(3年)も注目の存在で、鶴岡東は攻守に隙がない。この中から甲子園の舞台で再び“山形旋風”を巻き起こすチームが現れるのだろうか。
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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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