ついに解禁! みんなで熱唱したいプロ野球応援歌

熱狂的ライオンズファンの天才ピアニスト、清塚信也が語る「良いプロ野球応援歌の条件」とは?

吉田治良
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オリックスとの今シーズン開幕戦で始球式を務めた清塚さん。ノーバウンドで内角に投げ込む素晴らしい投球で、自身2度目の大役を果たした 【(c) SEIBU Lions】

 日本を代表するピアニストとして知られ、バラエティ番組などでも幅広く活躍する清塚信也さんは、幼少期からの筋金入りの埼玉西武ライオンズファンだ。2021年にはライオンズのビクトリーエンブレム『WE ARE ONE』のオリジナルテーマ曲を制作。源田壮亮をはじめ、選手との交流も深く、今シーズンの開幕戦では始球式の大役も務めた。そんな清塚さんに、音楽家としての視点から「プロ野球応援歌」の魅力について語ってもらった。

忘れがたい伊東勤さんの逆転サヨナラ満塁弾

──最初に、清塚さんが埼玉西武ライオンズのファンになられたきっかけから教えてください。

清塚信也(以下、清塚) 子どもの頃、西武球場(現ベルーナドーム)に近い所沢市の小手指に住んでいたのが大きかったですね。地元の子どもたちはみんなライオンズのファンでしたから、私も自然と応援するようになったんです。当時のチームには前監督の辻󠄀(発彦)さんをはじめ、平野(謙)さん、秋山(幸二)さん、清原(和博)さん、(オレステス・)デストラーデさんなどすごい選手がそろっていて、まさに常勝軍団。勝つといつも花火が上がって、その音が家まで聞こえてくるんですが、それがピアノの練習の励みになりましたね。

──ご自身も野球を?

清塚 小学校いっぱいまでは結構やっていました。スライディングをしてよく突き指もしましたが、ピアノの先生にバレたら怒られるので、レッスンでは痛いのを我慢しながら弾いていましたね(笑)。

──ご両親はよく許してくれましたね。

清塚 はい。母親が音楽に詳しくないので、「野球で使う手首のスナップはピアノのトレーニングにもいいんだよ」って、ごまかして(笑)。

──野球が厳しいピアノの練習の合間の、ちょっとした息抜きでもあった?

清塚 そうですね。毎日8時間とか10時間、ピアノの練習をしていたんですが、5分ぐらい休憩があるたびにテレビをつけて、試合の途中経過を見ていました。当時は今みたいにネットもないですから、そんな時間が本当に楽しみでしたね。

──当時で忘れられない試合はありますか?

清塚 たくさんありますけど、特に忘れられないのが1994年の近鉄との開幕戦ですね。野茂(英雄)さんに8回までノーヒットノーランをやられていたんですが、9回裏に一死満塁として、代わった赤堀(元之)投手から伊東(勤)さんが逆転サヨナラ満塁ホームランを打ったんです。電車の中でラジオ中継を聞いていて、思わず車内で大声を出しちゃいました。野球ってドラマだな、ライオンズって強いなって、あらためて思った試合ですね。

──誰のファンだったんですか?

清塚 みなさん好きでしたけど、なかでも秋山さんのスマートな走攻守には憧れましたね。その一方で、辻󠄀さんの堅実なチームバッティングとかも渋くて好きでした。ピッチャーだったら、渡辺久信さんや工藤(公康)さん。昔、小手指のレストランで偶然、工藤さん一家とテーブルが隣になって。本当は話しかけたかったんですけど、恥ずかしくてできなかった。その時、「いつか有名なピアニストになって、工藤さんと話すんだ」って誓ったんです。そうしたら数年前、息子さんの阿須加くんを介して、一緒に食事をさせていただく機会を設けていただけて。幼い頃に憧れていた気持ちが一瞬にして蘇りましたね。

『WE ARE ONE』の制作時に意識したことは

『WE ARE ONE』の制作秘話や応援歌への想いを熱く語ってくれた清塚さん。テーブルにあるのは、親交の深い源田から贈られた音符入りの特注グローブだ 【YOJI-GEN】

──そんな清塚さんが、ライオンズのビクトリーエンブレム『WE ARE ONE』のオリジナルテーマ曲を制作されたのは、2021年のことでしたよね? 球団が発信するSDGsというコンセプトに基づいて作られた楽曲ですが、オファーがあった時のお気持ちは?

清塚 ついに来たか、と(笑)。
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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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