松坂大輔氏「一度は断った」始球式 “縁”感じる東京ドームで、引退後初マウンドへ

大利実

24年前、松坂氏は背番号18を背負い東京ドームで衝撃のデビューを果たした 【写真は共同】

 日米通算170勝の記録を残し、2021年にユニホームを脱いだ松坂大輔氏がプロデビューの地・東京ドームのマウンドに登る。西武球団は3月13日、松坂氏の来場を発表した。舞台は4月18日、東京ドームで開催されるソフトバンク戦だ。西武にとっては18年以来、5年ぶりとなる東京ドームの主催試合となる。背番号18のユニホームを身にまとう始球式を前に“平成の怪物”から話を聞いた。

デビュー戦の地であることが背中を…

――4月18日に東京ドームで開催される西武対ソフトバンクの試合で、松坂さんが始球式を務めることが発表されました。引退後、マウンドから投げる始球式は初めてになりますが、球団から依頼を受けたとき、率直にどんなことを感じましたか。

松坂 正直に明かすと、断りました(笑)。

――そうなのですか!

松坂 はい。なぜかというと、右肩を痛めて現役を退きましたが、今も痛いままです。実はこれまでにも始球式のオファーがいくつかあったのですが、投げることに関してはすべて断ってきました。だから、ライオンズの依頼も申し訳ないですが、最初はお断りさせていただいたんです。

――それでも最終的には受諾されたわけですが、松坂さんの背中を押してくれたものは何だったのでしょうか。

松坂 4月18日までまだ少し時間があることを考えたときに、現役の最終登板よりは「投げられるかな」という気持ちが湧いてきたことです。ホームに届くかどうか不安な気持ちはあるのですが、肩回りのトレーニングをしっかりとやって、始球式に臨みたいと思っています。

――東京ドームで松坂さんが投げるとなると、あの伝説のデビュー戦を思い出すファンも多いと思います。1999年4月7日、日本ハム戦で初先発を果たし、8回5安打2失点9奪三振でプロ初勝利を記録しました。

松坂 最初に始球式の話をいただいたとき、デビュー戦のピッチングを思い出しました。何かの“縁”と言っていいのかわかりませんが、始球式を引き受けるかどうか迷っていた自分を納得させるものとしては、十分すぎる場所です。
 東京ドームだったからこそ、始球式でボールを投げる決断ができたと思っています。

――現役時代を振り返っていただきたいのですが、松坂さんにとって東京ドームのマウンドはどんなものだったのでしょうか。

松坂 ぼくにとっては非常に投げやすいマウンドでした。デビュー戦も、当時の監督である東尾(修)さんが、「松坂の投げ方なら、東京ドームのマウンドの傾斜が合っている」という判断で、あの試合に起用してくれたと聞きました。実際、東尾さんの読み通り、投げやすいマウンドでした。

――それはマウンドの硬さも関係しているのですか?

松坂 いえ、硬さというよりは傾斜なんですよね。表現が難しいですが、マウンドの形状がぼくには合っていました。

――今も思い出すような試合はありますか。

松坂 デビュー戦はもちろん覚えていますが、あとはWBCでも日本シリーズでも投げさせてもらって、抑えたこともあれば、打たれたこともたくさんあります。本当にたくさんの試合で投げることができ、良い思い出も苦い思い出もある球場ですね。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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