本橋麻里が語るメンバーの素顔とロコ愛 日本の強さの秘訣は「柔軟性」「逆境」

久下真以子
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女子日本代表として世界選手権を戦うロコ・ソラーレの強さの秘訣を、代表理事を務める本橋麻里さんに聞いた 【(C)JCA】

 世界女子カーリング選手権(スウェーデン・サンドビーケン)も大会2日目に入った。初日の連戦でよもやの連敗を喫した女子日本代表のロコ・ソラーレだったが、第3戦のスコットランド戦では最大5点差をひっくり返す大逆転で初勝利。決勝トーナメント進出に向けてのターニングポイントとなる勝利に、メンバーの表情にも持ち前の明るさが戻ってきた。

 今大会の序盤はアイスへの適応に苦労した日本だが、2018年平昌、22年北京と2大会連続でのメダル獲得、新設のパンコンチネンタル選手権(PCCC)を制すなど国際舞台で安定の成績を残している。その強さの秘訣はいったい何なのか。平昌五輪で銅メダルを獲得した際のメンバーで、現在は一般社団法人ロコ・ソラーレの代表理事を務める本橋麻里さんに、チームが常に成長し続けられている要因と各メンバーの素顔について聞いた。

スタッフ、コーチも含めた全員の相互関係が良好なチーム

メンバーの5人はもちろん、スタッフ、JDコーチ(右)や小野寺コーチ(左)らを含めた全員の相互関係が良好なのが強みだ 【(C)JCA】

 私は世界選手権に関しては現地に行かずに、日本から彼女たちを応援しています。国際舞台でチームに与えられるパスの数は限られているので、現場で最大限のパフォーマンスを発揮できる布陣を組むことに集中していますね。代表理事だからといって現地入りすることは、うちのチームではしていないですね。私が現場に行ってできることはほとんどないですから。

 メンバーの5人(リード・吉田夕梨花、セカンド・鈴木夕湖、サード・吉田知那美、スキップ・藤澤五月、フィフス・石崎琴美)はもちろん、チームスタッフ、そしてJD(ジェームス・ダグラス・リンド)コーチ、小野寺亮二コーチという勝っても負けても納得できる布陣を組んでいます。

 普段のチームは、メンバーで支え合いながら頑張っていて、ピンチの局面でJDコーチがフォローするというテレビで観たままの感じですね。戦術的な部分はJDコーチが担当しますが、長老である小野寺コーチがチームのクッション的な役割を担っています。一番人生経験が豊富なので、パパのように、時におじいちゃん目線でアドバイスをくれますね。

 競技や自分の夢をかなえることに純粋なチームであり、私がメンバーとしていた頃よりも確実に強くなっていますし、より楽しんでプレーしています。メンバーがブレた時には、信じて支えてくれるスタッフがいますし、チームの夢をスタッフ、コーチを含めた全員の共通の思いとして一丸になれています。チーム全員の相互関係が良いのが最大の強みであり、選手とスタッフ陣のどちらもお互いにとって欠かせない存在なんです。

平昌五輪ではフィフスとしてプレーした本橋さん(一番右)。現在は一歩引いたポジションからチームを支えている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 私はメンバーたちとは親しい間柄ではありますが、基本的には日本に帰ってきた時に会うだけなんですよ。練習拠点もカナダにあるので、顔を合わせる機会はきっとみなさんが想像しているよりも少ないですね。彼女たちの動向をネットやテレビの情報で初めて知ることも実は珍しくないんです(笑)。

 私の役割としては大会前と大会後のサポートになります。私自身の出番が少ないほうが、彼女たちが好調ということになりますね。SNSやLINEなどで連絡を取り合っていますが、主にフォローするのはピンチの時です。「調子どう?」「大丈夫?」という声かけをすることが多いですね。

 メンバーの微妙な変化に気づくタイプなので、「あれ?何か様子がおかしいぞ」となったらすぐに行動に移します。できる時に、気づいた時に行動するのが私のスタンスです。JDコーチや小野寺コーチとも連絡を取ってサポートすることを心がけています。普通に見えるけど、ちょっとした違和感を覚える時こそが私の出番です。
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著者プロフィール

大阪府出身。フリーアナウンサー、スポーツライター。四国放送アナウンサー、NHK高知・札幌キャスターを経て、フリーへ。2011年に番組でパラスポーツを取材したことがきっかけで、パラの道を志すように。キャッチコピーは「日本一パラを語れるアナウンサー」。現在はパラスポーツのほか、野球やサッカーなどスポーツを中心に活動中。

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