カーリング女子世界選手権 日本代表のロコ・ソラーレが唯一、勝っていない意外なあの国は?

竹田聡一郎

左から藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、石崎琴美 【(C)JCA IDE】

 カーリングの女子世界選手権が18日からスウェーデン・サンドビーケンで開幕する。

 日本代表として出場するのは先月の日本選手権を制したロコ・ソラーレだ。2016年大会で彼女らが獲得した銀メダルが日本カーリング史上最高成績だが、昨年の北京五輪準優勝、今季のグランドスラム制覇などの実績から考えれば、それを上回る可能性は小さくない。対戦順に展望(日時はすべて現地時間)をしていきたい。

オフアイスの過ごし方も分岐点に

 出発前、スキップの藤澤五月は「どのチームも本当にいいチーム」と出場13カ国について触れたが、初日からタフな対戦が続く。初戦でまず今季の欧州王者デンマークと、2戦目でデンマークに次いで欧州選手権準優勝のスイスと戦う。デンマークとは北京五輪で藤澤のラストロックで3点を奪う劇的な逆転勝ちを収めたのは記憶に新しいが、苦しい展開を強いられたとも言える。地力は確かなチームだ。そして優勝候補に推す関係者も多いスイスとの試合は、決勝のカードでもおかしくない好ゲームが期待できそうだ。初日を2勝で終えられたら最高ではあるが、アイスや石の情報を集めながら1勝1敗でもOKだろう。

 2日目はスコットランドとの1試合のみだ。北京五輪で(イギリス代表として)金メダルを獲得したスキップのイブ・ミュアヘッドが現役を退き、26歳のレベッカ・モリソンが代表チームのスキップを継いだ。昨季、今季共にロコ・ソラーレとの対戦はないが、相手の出方を探りながらもポジションごとのショット率でしっかりと上回りたい。

 3日目もダブルヘッダーだ。まずはアメリカ代表との1試合だが、朝9時開始はこの大会で初となる。前夜のスコットランド戦を終えてから、食事、ミーティング、ナイトプラクティス、そして睡眠から起床とオフアイスの過ごし方も重要になってくる。

「タイトなスケジュールの中、フィジカル的な部分も試されるのが世界選手権。オンとオフをしっかり切り替えられるか。休むべきとことろで休めるかが大会全体のキーになる」

 そう藤澤は語る。ここまでの4試合で4つのシートをすべて使い、すべての時間帯のプレーを経験することになるが、情報を集めながら勝ち星を積むことができれば、大会を通した最初の手応えを得る頃だろうか。

 夜はノルウェー戦だ。フォースのクリスティン・スカスリエンは北京五輪ミックスダブルスで銀メダルに輝いた、投げの技術に長けた選手だ。藤澤と投げ合いが大きな見どころになってくるだろう。

 4日目にも3度目のダブルヘッダーが巡ってくる。まず14時の試合でトルコと戦う。北京五輪の最終予選で痛い1敗を喫したことを多くのファンが鮮明に覚えているだろう。あの試合で無双状態だったスキップのディルサット・ユルディスもダブルス経験者であり、ドローの精度は高い。ロコ・ソラーレとの対戦成績は1戦1勝で、おそらく今回の出場チームで彼女らが唯一、勝ってないチームだ。

 藤澤は出発前に「いちばん楽しみにしている試合」と笑顔で語っていたが、しっかりトルコにリベンジを果たした後は、開催国で優勝候補のスウェーデンとの大一番を迎える。2018年の平昌五輪のチャンピオンチームで北京五輪も3位、直近5シーズンで常に世界の5指に入り続けてきた強豪だ。スキップのアンナ・ハッセルボリと、セカンドのアグネス・クノッヘンハウアーが出産を控え、サードのサラ・マクマナス選手が産後復帰して間もないという今季だが、両チームともに積極的にスチールを狙うスタイルなのでセンターライン上の精緻な攻防を楽しむことができそうだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント