7年前にロコ「世界一」を確信していた石崎琴美 ベテランの献身であと一歩、4年後は?

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悔しさだけで五輪を否定したくない

史上初の銀メダルに輝いたロコ・ソラーレ。前回の平昌五輪に続き2大会連続のメダル獲得となった 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

 最後はうれしさと悔しさの入り混じった決勝となった。北京五輪のカーリング女子決勝が20日、北京市の国家水泳センターで行われ、初の決勝進出となった日本は英国と対戦。3対10で迎えた第9エンド終了時にコンシード(ギブアップ)し、銀メダルに終わった。

 日本が銅メダルを獲得した2018年平昌五輪3位決定戦の再現となった決勝は終始、スキップのイブ・ミュアヘッドがチームを引っ張り、英国が試合を支配。日本は複数得点をマークするエンドを作れず、逆に第7エンドで大量4点を与えてしまう厳しい展開となった。日本の選手たちは試合終了後には笑顔を見せていたものの、一方で悔しさもこみ上げてきたようで、サードの吉田知那美は「悔しいんですけど、悔しいっていう気持ちでこの五輪を否定したくない」と独特な表現で心境を語っていた。

 アイスの上でプレーした4選手は平昌五輪に続く2大会連続メダル獲得となったが、1人だけ初めてのメダルをスキップ・藤沢五月からかけてもらった選手がいる。43歳でリザーブとして選手たちを支えてきた石崎琴美だ。表彰台では藤沢と抱き合い、思わず涙も見せた。

 02年ソルトレークシティ、10年バンクーバーと2度、五輪出場を果たした石崎がロコ・ソラーレに正式加入したのは20年のこと。すでに平昌五輪銅メダルを獲得していたチームへの加入には「入る、入らないで迷って、自分が入っていいのか?」と逡巡する思いもあった。しかし、加入後はチームを縁の下で支えるフィフスとして貢献し、自身3度目の五輪出場を果たした。

琴美ちゃんをメダリストに

最年長の石崎琴美はリザーブとしてチームを支えた。選手たちの信頼も厚い 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 そんな石崎に対して選手たちの信頼は厚い。特にフロントと呼ばれるリードの吉田夕梨花、セカンドの鈴木夕湖はメダルを確定させた準決勝スイス戦の直後から、彼女への思いを口にしていた。

「琴美ちゃんをメダリストにできた。まずはホッとしています。琴美ちゃんが私たちが私たちらしい試合をすることを一番に願っていると思うのでそれがうれしい」(吉田夕梨花)
「琴美ちゃんが人生を変えてまで私たちのチームに入ってくれて、一緒にメダルをかけたいなと思っていて、メダルをかけてあげられるのがうれしいです」(鈴木)

 大ベテランは何を意識して北京五輪に臨んでいたのか。今大会はスウェーデンに敗れ黒星発進。韓国、英国に連敗を喫するなど、1次リーグでは5勝4敗と決して順風満帆な戦いではなかった。

「予選(1次リーグ)では苦しい戦いが続いていた。技術はあるけどメンタルで落ち込んでしまっていた。それをチームでカバーしてお互い支えることをテーマにして私は伝えてきた」

 負けているとき、チームが苦しいときこそ自分の役目。彼女がそう思う背景には過去の苦い思い出がある。チーム青森の一員として目黒(現姓:金村)萌絵、本橋麻里らとともにバンクーバー五輪に出場したが、3勝6敗で1次リーグ敗退。そのときに仲間を支えられなかった悔しさを晴らしたい、その思いも胸に石崎は北京に乗り込んでいた。

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