工藤公康が考えるオープン戦の意義「シーズン前だからこそ試せること」
ブルペンと試合との差を埋める
現役時代の工藤氏はシーズンで結果を残すために、オープン戦でどんなことを試していたのだろうか? 【写真は共同】
シーズン中でも同じですが、特にこのオープン戦は、現在の自分の体の状態、調整がどれほどできているのか、という視点も大切にしつつ、ブルペンと試合でのギャップを埋める取り組みも行ってきました。
ブルペンではコントロールができていたボールが、試合ではボール1個分外れてしまう、ボール球にしたい変化球のコントロールができないなど、実際の試合では、どうしても力が入ってしまい、フォームやボールにブレが生まれてしまいます。
ブルペンでの投球と実際の試合とのブレや感覚の違いを確認、自覚をしたうえで、調整・修正方法を試合の中で養い、試す。こういった一連のサイクルをオープン戦の時期に大切にしていました。
大切なのは、自分なりの調整方法を見つけていくことです。ボールが高くいってしまうなら、それを低くする方法、外れてしまうならそれを戻す方法、ストライクからボール球にしたい変化球がストライクゾーンからストライクゾーンでの変化になってしまうのであれば、試合の中でその変化球を3球続けるなど矯正をしていく。それができるのがこのオープン戦です。
シーズンが始まれば、打者1人ひとりと戦っていかなければいけないので、何かを試すということは難しい。オープン戦だからこそ、調整方法や変化球をうまくコントロールできないときの修正方法を試合の中で探ることができます。
オープン戦では、ある程度「球数」という設定もあります。その中でも、ただ球数をこなしていくのではなく、限られた球数の中で目的を持って取り組むことも大切になります。
例えば、変化球の1つをカウントを取る球に使いたい。そういった意図がある時に、キャッチャーと話をして、ボールが続いたタイミングでその変化球を選択してカウントが取れるのかを試す。その日の登板の中で、何回もできませんが、1~2回試して調整をしていく。限られた球数の中でやりたいことを試していき、その中で球数を増やし、シーズンを迎える準備をする。私はオープン戦で登板していくうえで、そういったことも大切にしていました。
(企画構成:スリーライト)