工藤公康が考えるオープン戦の意義「シーズン前だからこそ試せること」
ソフトバンク監督を務めた工藤氏が、各球団がオープン戦で準備していることについて解説してくれた 【写真は共同】
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オープン戦は情報収集の場でもある
開幕に向けて選手たちはどんな気持ちでオープン戦に臨んでいるのだろうか? 【写真は共同】
結果を残して1軍に残る。レギュラーを掴む。そのためには若い選手や新人の選手は、オープン戦の1戦1戦が勝負になります。
一方で、ある程度実績のある選手は、投手であれば今年の自分の状態、例えば「コントロールはどうだろう?」「変化球の精度はどうだろう?」というように、自分の状態やコンディションを確認していきます。
新しい球種を覚えたときには、カウント球として使えるのか、決め球として勝負ができるのか、などを試していきます。
ただその中で、同じリーグの打者とオープン戦で対戦した際、試したいボールを投げたり、試合の中でやりたいことを実践するということはあまりしません。プロ野球の世界にとって、情報というのは非常に大きな武器になります。自分が投げたいボールや戦略をオープン戦で試してしまうことで、シーズン開幕前に相手に情報を与えることになってしまいます。そういった考えが背景にあるため、同じリーグの打者に対して投げるときは、あえて昨年と同じような攻め方や、投球をするケースもあります。
しかし、同じリーグのチームでも、新外国人・新人の打者と対戦する場合は状況が変わります。インコースを続けてみたり、変化球を続けて何球目に打者が手を出すのか、そういった反応を見ることもあります。先ほども話したように、プロ野球という世界は、相手を知っているか、知らないかで大きく戦況は変わります。情報が未知の選手に対しては、変化球を続けて投げた時のタイミングの取り方や反応を見て情報を集めます。
このような情報収集は、バッテリーで話して取り組む場合もありますが、チームとして取り組むこともあります。特に外国人選手には、インコースを続けたときにどういった反応をするのか、そのインコースを続けた後の変化球にはどういった対応をするのか、チームとして作戦を練って取り組む場合もあります。オープン戦という時期は、調整や“試す”という時期だけでなく、情報を収集していくうえでも大切な時期になると考えても良いでしょう。