U19代表の横山智那美と森岡ほのか 将来は女子バスケ界を引っ張る存在へ

永塚和志

大型ガードとして将来のA代表が期待される横山智那美 【写真提供:Wリーグ】

 4つの異なる世代の選抜チームによる「W LEAGUE SUPER GAMES - 4 GENERATIONS -」が2月11日から2日間、国立代々木競技場 第二体育館で行われ、4つの異なる世代の選抜チームがコートでぶつかった。

 優勝をかけた最終日の試合では渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)や町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)といった日本のA代表を多数擁するO26チームと、こちらも代表経験者が複数いるU25チームが対戦し、O26チームが勝利したが、大会のみどころは、むしろ今後の日本の女子バスケ界を背負う若手選手たちだった。

 そのなかで、もっとも若い世代のU19代表チームの横山智那美(桜花学園高校、1月からアーリーエントリー制度を使いWリーグ・トヨタ自動車アンテロープスでプレー)と森岡ほのか(札幌山の手高校、アーリーエントリーでWリーグ・日立ハイテククーガーズに所属)という、ウインターカップ等高校バスケの全国大会でも際立った大型ガード2人に注目した。

 横山も森岡も昨年のU18アジアカップに出場していることもあって、将来のA代表が期待される。とりわけ横山は「2024年のパリオリンピックの招集にかかるように絶対に世界でも、日本でもアピールしたい」と口にすることで自らを高めようとしているところが如実に見える。
 170センチという長身と卓越したリーダーシップで桜花学園高校時代から全国的に名をとどろかせる横山だが、得点力に秀でる森岡と比べると、より「ポイントガード(PG)らしいポイントガード」と言えるのではないか。その役割が明確であるだけに、上述のU18アジアカップでも平均13.2点、5.4アシストと先発PGとして日本の主力として準優勝に貢献している。

 身長を生かした積極的なドライブからの得点も彼女の武器で、トヨタ自動車ではここまで出場3試合で平均出場時間が11分強のなかで同5.3得点と躍動している。

「世界と戦うにはやっぱり身長があるPGが必要なのかなと思いますし、自分は少し身長が高いので、世界と戦えるように頑張っていきたいです」

 自身は9得点、5リバウンド、2アシストを挙げU19代表がU22代表を76−66で破った12日の3位決定戦を終えて、横山はそう話した。

オールラウンダー・森岡のお手本は札幌山の手高の先輩たち

札幌山の手高では1年次からキャプテンとしてチームを引っ張ってきた森岡ほのか 【写真提供:Wリーグ】

 その3位決定戦で横山とバックコート陣として先発を担った174センチの森岡は、横山とは違って、PG、SG(シューティングガード)、さらに状況次第ではSF(スモールフォワード)と、その傑出した得点能力があるからこそさまざまな役割を担う。それだけに、自身になにが求められているのかがその都度変わるという難しさも出てくる。

 主にPGとしてプレーした札幌山の手と、SGとしての出番が中心だった今回のU19代表では、勝手がかなり違っていたと振り返った。

「(U19)代表ではピック(味方選手を壁に攻めこむ隙を作ること)を使うのがすごく多くてそこからの攻めが課題となっていたので、その中で自分のドライブだったり、仲間にアシストしたりすることが重要だと思います。今日は、ドライブはできましたが、アシストまでというのはできていなかったので、もっと自分がドライブに行っているときこそ周りの動きを見てアシストができたらいいなと思います」

 昨年末のウインターカップ。森岡は得点面を含めたそのオールラウンドな力量でチームを準優勝に導いた。しかし札幌山の手で彼女がPGを務めたのも、チームの核である彼女にボールを運ばせることがチームの攻撃力を機能させるのに適していたからだろう。森岡の場合はPGでありながら得点力があるではなく、得点力がありながらPGをやっているという側面が強い。

 手本にする選手などはいるか、と問うと森岡は札幌山の手の先輩で日本代表、WNBAでも活躍した町田瑠唯の「視野の広さはまねしていきたい」とする一方、同じく同校出身で日本代表の東藤なな子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)の「ドライブインしてからのフェイドアウェイやレイアップ」にも言及するなど、やはり得点手法の多彩さにも目がいくあたりはスコアラーらしさを感じさせた。

「自分はPGとしては身長があるのでついてくる選手によっては高さやスピードのミスマッチも出てくると思うので、そういうときにドライブでなかに入っていったりできるのがほかのPGとは違う、自分の強みだと思うので、そこを生かしていきたいです」

 自身がPGとしてプレーするときのよさについて森岡は、そのように答えた。彼女の場合、先述のU18アジアカップでは平均3.8点、1アシストに終わってしまっているが、3Pの精度を高めることがA代表への選出、そしてそこでの躍進の鍵になっていくのではないか。当人もガード選手として、とりわけ国際舞台では長距離シュートのスキルを上げねばならないと自覚しているようで、以下のように話している。

「3Pは高校のときから磨いてきました。身長があって3Pとかドライブインもできるというのは相手からすれば守りづらいと思うので、自分の強みとして生かしていきたいです」

 しかしながら、こうして旧来からの凝り固まったポジション像に沿って選手を語ること自体が古くなりつつあるのかもしれない。男子ではすでにNBAを中心にポジションの境目が10年、20年前と比べて明確ではなくなっており、すべてのポジションでより万能さが求められるようになっている。
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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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