連載:WBCプール展望&ライバル国分析

【WBC注目投手8選】“魔球使い”やMLB最高の奪三振マシーン 個性派揃いの各国投手陣

データスタジアム株式会社

マーカス・ストローマン(プエルトリコ)

ストローマン(カブス)は前回大会のMVP右腕 【Photo by Jim McIsaac/Getty Images】

役割:先発

 前回大会ではアメリカ代表としてプレーし、MVPに輝いたマーカス・ストローマン。今大会は、自身が前回の決勝で対戦した相手、プエルトリコ代表として出場する。投手としての特徴は右打者であればツーシームとスライダー、左打者には内角のカットボールや外のスプリットと、投げ分けでゴロを打たせる投球だ。近年は以前ほどの極端なグラウンドボーラーではなくなっているものの、22年に打球がゴロになった割合52%は平均を7ポイントほど上回っている。また17年にはゴールドグラブ賞に輝くなど、高い運動能力を生かしたフィールディングの良さも特徴で、自身らゴロを処理するシーンは今大会も見られるだろう。試合を作ることに長けた右腕は、2大会連続決勝で涙を飲んだプエルトリコを頂点に導くことができるか。

ケンリー・ジャンセン(オランダ)

ジャンセン(ブレーブス)の代名詞はカットボール 【Photo by Patrick Smith/Getty Images】

役割:救援

 09年の第2回大会では強肩の若手捕手として出場。そのシーズンから投手に転向し、通算391セーブをあげている名クローザーがケンリー・ジャンセンだ。近年はツーシームも交えるようになったが、武器は投球の60%以上を占め、代名詞ともいえるカットボール。一般的なカットボールよりも曲がりが大きく、加えてフォーシームのような伸びがあるため、スイングした際にバットがボールの下を通過しやすい特徴がある。この独特の球質こそが、ジャンセンの生命線だ。過去2大会連続でベスト4に進出し、今大会は決勝進出を果たしたいオランダ代表。その鍵は絶対的クローザーであるジャンセンを、セーブ機会でマウンドに送り込めるかどうかにかかっている。

デビン・ウィリアムズ(アメリカ)

ウィリアムズ(ブルワーズ)は“魔球”チェンジアップを駆使 【Photo by Brace Hemmelgarn/Minnesota Twins/Getty Images】

役割:救援

 多士済々のアメリカ投手陣において、魔球の使い手は誰かという点にフォーカスすると、ブルワーズのデビン・ウィリアムズが該当する。一部で“エアベンダー”と称されるチェンジアップがこの右腕の投じる魔球。投球の6割近くを占めるほど多用しながら、22年の被本塁打はわずか1本のみだった。通常チェンジアップは回転をかけないように抜いて投げるが、彼は独特のひねりを加えたリリースによりスピンをかける。その影響で通常のチェンジアップよりもシュート方向の変化や落差が大きく、打者はこの変化球を捉えきれていない。個性的な投手が多いMLBでも、これはほぼ彼しか投げられないような球種。ウィリアムズ登板時には“魔球”の変化にぜひ注目してほしい。

エドウィン・ディアス(プエルトリコ)

ディアス(メッツ)はMLB最高の奪三振率を記録 【Photo by Sarah Stier/Getty Images】

役割:救援

 メッツのクローザーを務めるエドウィン・ディアスは、MLB最高の奪三振マシーンだ。22年に50イニング以上投げた投手の中で最高の奪三振率17.13をマーク。つまり3アウトのうち、ほぼ2つを三振で打ち取っていたことになる。以前から球界屈指のリリーフ投手ではあったものの、コントロールが乱れる試合も散見されていた。しかし22年はそれまでの速球中心だったスタイルを見直し、スライダーの割合を大幅に増やすことでピッチングの安定感が向上した。160キロ前後の速球を持つ変化球投手にモデルチェンジしたことで、持ち味の奪三振力も一つ上のステージに上がった。22年には空振り率54.7%を記録し、打者のスイングは半分以上が空を切った。そんなディアスのスライダーが、WBCの大舞台でもうなりを上げる。

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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