連載:愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方

「自分たちを肯定できた」 中村憲剛が語るフロンターレ初戴冠の意味

原田大輔
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中村憲剛は躊躇なくファンに歩み寄っていく 【写真:アフロスポーツ】

「クラブが地域への活動を行ってなにが悪いというのか」

「クラブが川崎市民の人たちに喜んでもらう活動をしてなにが悪いんだ」

 ずっと、そう思ってきた。
「タイトルが獲れないのは、僕ら選手が力不足なだけで、そうした活動は一切、関係ない」

 2位や準優勝の数が増えれば増えるほど、中村は強く思ってきた。

「ピッチ外の活動の手をゆるめてまで勝ちたいとは思わなかった。クラブが取り組む活動を続けながら、絶対に勝ちたいと思っていた。だから、2017年にリーグ戦で優勝できたときには、めちゃくちゃうれしかった。それまでの周囲の声を完全に打ち消し、自分たちを肯定することができましたから」

 2017年に明治安田生命J1リーグで初優勝するまで、自身が2位や準優勝を経験したのは7回を数えていた。3位でJ1リーグを終えた2013年や明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ準決勝で敗れた2016年を含めると、あと一歩のところでタイトルを逃した経験は二桁に迫ろうかとしていた。

「クラブが行う社会貢献活動や地域貢献活動と、自分たちのパフォーマンスはまったくリンクしていないと思っていた。ただ、ただ、僕らの力が足りなかっただけで、1ミリも足かせになっているとは感じていなかった。ただし、プロは結果がすべての世界なので、だからこそ、タイトルを獲って、チームのことも、クラブのことも肯定したかった」

 タイトルは喉から手が出るほど欲していた称号だった。それだけに、川崎フロンターレというクラブにとって、中村憲剛という選手にとって、2017年にタイトルを手にした意味は大きかった。

「後発」のクラブが持つインパクト

新加入会見に臨む中村憲剛。彼は文字通りクラブとともに成長してきた 【(C)J.LEAGUE】

 川崎フロンターレがタイトルを獲得した意味を改めて言葉にする。
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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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