12球団の“熱烈”識者が語る!昨シーズンと新シーズン

中日識者は手薄な二遊間を危惧 打線を引っ張るのは「高橋周平しかいない」

Timely!編集部

FAで獲りたかった涌井、新人に期待せざるを得ない二遊間が心配

阿部と涌井のトレードは多くの中日ファンを驚かせた 【写真:共同通信社】

菊地 そんなシーズンのなかで、投打にMVPを選ぶとしたら誰になりますか?

矢吹 普通に選ぶと先ほど名前を挙げた、高橋宏斗、岡林になるんですけど、それだと当たり前すぎてつまらないかなと思うので、ピッチャーは清水達也ですね。

菊地 あー、良いですねぇ。

矢吹 ルーキーイヤーに軽く取材というか、話をさせてもらったんですけど「自分の言葉で喋る選手」だったんです。通り一辺倒のテンプレートで話す選手ではなくて、記者からの言葉を一回しっかり受け取って自分の頭の中で反芻して、自分の言葉で返すことができる選手っているんですけど、清水達也は高卒1年目のときからそれができていたんです。そういう選手って活躍するじゃないですか?

 清水達也も1年目のキャンプ第二クールでもう打撃投手で投げていたんです。ストレートと落ちるボールのコンビネーションが既にできていたので、このタイミングで投げることができるというのはコントロールも含めてそこそこのクオリティーが1年目から問題なしと思われていたということなので、この投手は結構早く出てくるなぁと思っていたんですよ。実際、結構早くから出てきてくれましたし、だから投手のMVPは清水達也ですね。

菊地 なるほど。

矢吹 野手のMVPは楽天に移籍してしまいましたけど阿部寿樹選手ですね。

菊地 昨シーズンは打線が苦しいなかで頑張ってくれていましたもんね。

矢吹 監督からは正直、構想外だったと思うんです。ショートは京田、サードは石川(昂弥)、セカンドは高橋周平、そういうような構想だったと思うんですけど、蓋を開けてみると高橋、石川が怪我でいなくなった。そのときに阿部選手がセカンド、サードを守って、ファースト、レフトまでも守った。攻守の穴を埋めてくれましたし、打順も色んなところを打ってくれて結果も出してくれましたからね。

菊地 そういうMVP級の働きをした選手をトレードで放出したことにすごい衝撃を受けたんですけど、そういうことも含めてチームにドラスティックな動きが見えるわけですけども、矢吹さんはどのように見ているのでしょうか?

矢吹 僕がずっと心に決めているのは、トレード、FAで一喜一憂しないということなんです。というのも、開幕までに(外国人選手編成も含めた戦力が)揃っていればいいと思っているので。

 ですので、このトレードに関しては今は静観、様子を見ているというのが正直なところです。というのも、このオフはトレードなどでかなり積極的に動きましたけど、まだ終わりだとは思わないんですよね。

 「中日に一番足りない、長打、打点をずっと稼いでくれていた阿部選手を出してどうするんだ!?」という声がかなりたくさんあると思うんですけど、もしかしたらこの後に大型トレードを敢行して、打つ選手を獲るかもしれないじゃないですか。その可能性も全然ゼロではないので。だから開幕までに編成が落ち着けば、阿部選手のトレードもまた全然違った話になると思うのでそこには一喜一憂はしていないんです。

 ですが、阿部選手の代わりに獲った選手が涌井(秀章)投手じゃないですか。涌井投手ってFA権を所有していますよね? それだったらFAしてもらって獲れば良かったのにな、というのは正直あります。

菊地 なるほどなるほど。

矢吹 そうすれば阿部選手をキープしたままで涌井投手も獲得できましたしね。ただFAしてもらっても獲るお金がないと言われればそれまでなんですけど(笑)。

菊地 他にも京田選手が砂田毅樹投手とのトレードでベイスターズへ、三ツ俣(大樹)選手が戦力外になったりなど、二遊間の選手が足りるのかなという心配がなくもないんですけども、このあたりはいかがですか?

矢吹 ものすごく心配しています。僕もルーキーの選手には毎年期待しているんですけど、でも計算に入れるのは間違っていますよね。ドラフトで村松(開人/ドラフト2位)選手とか田中幹也選手(ドラフト6位)とか期待できる内野手をたくさん獲りましたけど、(戦力として)計算に入れるのは選手にも失礼というか、ルーキーですからどれだけできるか分からないですし、土田選手だってフルシーズン戦えるかどうか全く分からないですよね。

 そのうえでプランBとして、土田選手がダメだった場合に京田選手か三ツ俣選手を残しておくのが普通だと思うんですけど、2人とも出してしまった。三ツ俣選手に至っては謎に戦力外だったので、普通にトレードに出せばピッチャーとか獲れたんじゃないかという気もするんですけどね。その辺の、涌井投手の獲り方も含めて、クエスチョンの残る動きが多いですね。

菊地 お金をあまりかけないというイメージがあるなかで、一方ではシンシナティ・レッズから(大物外国人選手の)アキーノ外野手を獲得しましたし、近年にはない補強の動きにも見えますね。

矢吹 さすがに(大物外国人選手を)獲ってあげないと可哀想だなと親会社も思ったんじゃないかなと思うんですけどね(笑)。

 アキーノは結構(期待できると)言われているんですけど、僕が結構期待していいんじゃないかと思っているのはアルモンテと一緒に入ってくるカリステです。根拠がちゃんとありまして、2022シーズンはアルモンテと一緒にやっていたんですけど、多分アルモンテの推薦があったんだと思うんですよね。アルモンテは怪我の問題で退団しましたけど本当に良いバッターでしたから、そのアルモンテのお墨付きがあるのならほぼ問題ないだろうというのが一つ。

 もう一つは、アルモンテが入ってくるときも「この選手は打つんじゃないか?」と思った理由がありまして、「メキシカンリーグ」ってひと言でまとめられてしまいますけど、アルモンテが所属していたモンテレイというチームは標高500メートルくらいにあるチームなんです。メキシコリーグのチームがある都市って、標高が大体1800〜2000メートルとかばかりなんです。そのなかでアルモンテは標高がかなり低いモンテレイで打率を残していたので、かなり期待していいなと思っていたんです。

 カリステもモンテレイ所属でものすごい高打率を残していたので、これは結構期待していいんじゃないかなと思うんです。アルモンテのお墨付きもありますし。

菊地 なるほどなるほど。

矢吹 カリステのバッティングをYouTubeで見たんですけど、昔中日にいたコールズを覚えていますか?

菊地 いましたね! サードとかを守っていたね。

矢吹 彼に近いかなという気がします。

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