元日本代表DF坪井慶介のスペイン戦解説 「最大の勝因は、冨安投入で“4センターバック”を並べた森保采配」

吉田治良
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スペイン撃破の最大の勝因は、森保采配。堂安、三笘の投入も的中したが、それ以上に冨安を入れて4CBを並べた策は見事だった 【Getty Images】

 コスタリカとのグループリーグ第2戦に敗れ、厳しい状況に追い込まれていた日本だったが、強豪スペインを相手にまたしてもジャイアントキリングを演じ、2対1で勝利。見事グループリーグ1位でベスト16進出を決めた。早い時間帯に先制を許しながら、なぜ日本は大逆転で勝利をつかめたのか。元日本代表DFの坪井慶介氏に勝因を挙げてもらった。

追加点を許さなかった前半の粘り強い守備

  やりましたねー、日本! まだちょっと興奮していますが、ここは冷静にスペイン戦の勝因を分析したいと思います(笑)。

 まず日本のシステムですが、4バックではなくスタートから3バックで来ましたね。これは想定内というか、僕も3バックで行くべきだと思っていました。過去2戦とも途中で3枚に変えてから良い流れをつかんでいましたし、ならば最初から、という考え方です。それで上手く行かなければ、また4枚に戻せばいいわけですし。

 ただ、前半は良いプレスも時折見られましたが、やはり押し込まれる展開になって、早い時間帯(11分)に先制されてしまいましたね。そこからスペインに余裕をもってパスを回され、ちょっと嫌な雰囲気が漂いました。

 とはいえ、その苦しい前半を耐え、追加点を許さなかったことで、これはまだ何かありそうだなって思えたんです。もちろん、日本のプレスがすべて上手くハマったかと言えば、そうではありません。スペインの技術は高かったし、プレスをいなすようなポジショニングも巧みでしたから。

 その中でも全員で声を掛け合って、相手がライン間に入ってくるところに遅れながらでも対応し、ズレを埋める作業を丹念にやり続けた。そうやって、とにかく前半を我慢強く1失点に抑えたことが、あの後半につながったと思います。

 おそらく、サポーターの皆さんの中には、もっと前から行ってほしいと思った方もいるかもしれません。しかし、早い時間に失点したことで、選手たちの間ではリスクをかける守備をするよりも、まずは粘り強く守って後半勝負という考えが共有されていたんだと思います。
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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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