連載:ロコ・ソラーレ凱旋!白熱の日本カーリング選手権

王者フォルティウス、世界への「再出発」 近江谷が語る日本カーリング選手権の展望

竹田聡一郎
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前回王者のフォルティウスのセカンド・近江谷(写真左)に今大会への意気込みを聞いた 【写真は共同】

 北京五輪のカーリング女子でロコ・ソラーレが銀メダルを獲得してから早3ヶ月。日本中がカーリングフィーバーに包まれた、あの熱狂の日々がまた帰ってくる。カーリングの日本一を決める国内最高峰の大会「日本カーリング選手権大会2022」が5月21日に開幕。女子ではロコ・ソラーレはもちろん、前回王者・フォルティウス、女子世界選手権代表・中部電力、4強の一角である富士急を中心にハイレベルな戦いが予想される。また、男子もコンサドーレの4連覇に期待がかかる。

 連覇が懸かるフォルティウスは、この1年で多くの苦楽を経験したチームだ。前回大会でロコ・ソラーレを決勝で破り日本の頂点に立ったが、五輪や女子世界選手権に関してはライバルたちの後塵を拝し、世界への切符を逃した。船山弓枝―近江谷杏菜―小野寺佳歩―吉村紗也香というオーダーに、新たに小林未奈をフィフスに加えた布陣で再出発を図る。「目標は連覇ではなく、あくまで今大会の優勝」と語るセカンド・近江谷にその真意と、今大会におけるチームの意気込みを聞いた。

栄光と挫折を経験したフォルティウス激動の一年

前回大会を制したフォルティウスだが、北京五輪代表決定戦ではロコ・ソラーレとの激戦の末に敗れ五輪出場を逃した 【写真は共同】

――昨シーズンの終盤から日本選手権(北海道稚内市)優勝、女子世界選手権(カナダ・カルガリー)出場と大舞台続きでした。今シーズンは9月にロコ・ソラーレと北京五輪代表決定戦を戦い、パシフィック・アジア選手権(カザフスタン・アルマトイ)では初優勝。さらにチームスポンサーを探しながらの女子世界選手権代表決定トライアル参加など……。フォルティウスにとって激動のシーズンでしたね。

 本当にいろいろなことがありました。チームとしては「北京五輪での金メダルを目指す」と同時に「フォルティウスというチームを長く存続させたい」という2つの軸を持っていたんですけれど……。

――ロコ・ソラーレとの北京五輪代表決定戦で惜しくも敗れ、母体であった北海道銀行が若手中心の新チームを編成。先ほどおっしゃっていた2つの軸のうち、1つが消えてもう1つも危うくなったということですか?

 そうですね。あの時は正直、結構ガツンときましたね。

――それでもチームメンバーは基本的には前向きに可能性を模索していた印象です。

 大変な時期ではありましたけど、みんなネガティブなタイプではないので。「人生が終わるわけではないし、いいことがきっと待っている」みたいなことをお互いに言い合っていました。なので、必要以上に何かを恐れたり、落ち込んだりすることはなかったですね。「なるようになる!」と常に前向きに考えられてはいました。

――結果、ニューズドテックさんや北海道でんき保安協会さんをはじめ、道内外の企業、団体がスポンサーについてくれました。

 本当にありがたいことです。今となれば「変化を選んで良かったね」とも言えますし、単純にスポンサーからサポートを受けて活動できるカーリングチームが国内に1つ増えました。そう考えれば、私たちが動いた意味も生まれるのかなと思います。

――国内のカーリング、特に女子は近江谷選手がチーム青森に所属していた頃と比較すると競技環境が整いつつありますが、カーリングがさらに発展するためにはどんなことが必要だとお考えですか?

 私はカーリングを観るのも好きなので、単純に国内でも観戦できる機会がもっと増えると嬉しいです。さらにエンターテイメントを取り入れたりして、来てくれた人が「また観に行きたい」と思えるような観戦文化を根づかせたいですね。

 あと、海外に遠征に行っていていつも羨ましく感じるのは、「カーリングホールにご飯を食べに行くだけの方も多いこと」ですね。特にカナダのホールにはカフェやレストランやバーが必ず併設されているので、そこで美味しい物を食べたりお酒を飲んだりできます。カーリングはもはやついでで、「そこでやっているから観ようじゃないか」という感じの観戦文化がすごく素敵なんですよね。地域の人が集う場所になれば、施設として存続しやすくなると思います。
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著者プロフィール

竹田聡一郎

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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