連載小説:I’m BLUE -蒼きクレド-

[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第17話「潜んでいた世代間の溝」

木崎伸也 協力:F
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舞台は2038年。11月開催のインド・ワールドカップに向けて、日本代表は監督と選手たちの間に溝が生じていた。
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。
 チリとの親善試合の翌日、「未来フィールド」のピッチには笑顔が広がっていた。
 クールダウン組の一宮光がランニングしながら、少し前を走るアチェンポン歩夢のアフロヘアにミニコーンを被せると再び笑いが湧き起こる。
 雰囲気が良くて当然だ。日本代表はチリに3点を先制されたが、怒涛の反撃を見せて4対3で勝利したのだから。
 一宮が先頭に躍り出て言った。
「この勢いで来週はブラジルをぶっ倒すぞー!」
 秋山大は監督室のテラスからピッチを見下ろしながら、戦術改革が順調なスタートを切ったことに満足した。
 良心の呵責がないわけではない。自分は玉城迅のキャリアを大きく傷つけただろう。だが目的達成のためなら犠牲は厭わない――それが秋山の信念だ。
 秋山はいつものようにエスプレッソで負の感情を打ち消した。

 チリ戦の前半15分、秋山は非情な決断を下した。ミスを連発して3失点の原因になった玉城に代え、渋谷寛人を投入したのである。

【(C)ツジトモ】

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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載。

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