[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第14話「激突」
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。
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加藤慈英の張り手を松森レオがかわした瞬間、玉城迅は2人の間に体をねじ込んだ。試合前日なのだ。ヒートアップする前に止めなければならない。
だが、それはマグマに飛び込むようなものだった。ケンカの本気度が違う。慈英が容赦なく左手のひじを振り下ろし、玉城ののど元に直撃した。
「学生、ジャマなんだよ!」
玉城は呼吸できなくなり、咳き込みながらシートに倒れ込んだ。立ちあがろうとするが、のどに激痛が走って力が入らない。
慈英は床を蹴り上げて一気にレオとの間合いを詰めると、右手を伸ばして相手の胸元をつかんだ。全体重を乗せて、頭突きを食らわせようとする。
「17のガキのくせに人の未来、語んじゃねェッ!!」
まるで闘牛の突進だ。
ところが、イングランド生まれのレオはまたしても驚異的な反射スピードを見せる。
身をかがめて慈英の頭突きをひたいで受けると、体を捻りながら相手をコマのように回した。
もみあいながら体勢が入れ替わり、慈英の背中がフロントガラスに激しく打ちつけられる。フロントガラスに小さな亀裂が走った。
慈英もやられっぱなしではない。レオの腰に両腕をまわし、バックドロップでフロントガラスにたたきつけようとした。レオが咄嗟に手をクロスさせて顔を守る。
2人とも呼吸が乱れ、胸ぐらをつかんだままこう着状態に陥った。
その瞬間、こう着を待っていたかのように秋山大監督が叫んだ。
「運転手さん、スピード落として! 手分けして抑え込むぞ!」
【(C)ツジトモ】
レオは一瞬体を硬直させたが、抵抗せず、すぐに戦闘モードを解除した。
「ソーリー。みんなのリラックスタイムをじゃましちゃったね。アタックされて、オートマティックに反応しちゃったよ」
秋山は羽交い締めを解こうとしない。まだ何をしでかすかわからないと疑っているのだろう。秋山は元チームメイトの息子を諭した。
「走行中にケンカって、事故になったらどうするんだ。気性の荒さは父親そのままだな」
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