連載:プロ野球ドラフト史「全12球団“ヒット指名”ランキング」

会心のドラフト指名・中日編 投打のレジェンドはいずれも下位指名

カルロス矢吹
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40歳を過ぎても先発ローテーションの一角を担った山本。レジェンド中のレジェンドもスカウトの熱意がなければ、大学へ進学し、教員になっていたかもしれない 【写真は共同】

 各球団がこれまでにドラフト指名した選手の中で、一番の“ヒット”だったと言えるのは誰か。無名の選手や他球団の評価が低い選手の才能を見抜き、のちにチームに大きく貢献することになる金の卵を手に入れた「成功例」を識者に挙げてもらい、順位づけもお願いした。第4回は中日。あのレジェンドは果たして何位にランクインするのか?

10位:岡林勇希(19年ドラフト5位/投手/菰野高)

 岡林に現時点で何かの評価を下すのは、あまりに性急な判断かもしれない。だがこの伸びしろたっぷりの若武者へのあふれる期待を抑えることができない。今季、高卒3年目にして開幕戦スタメンに抜擢されると3安打を記録。気がつけば、そのまま外野のレギュラーポジションに収まり、規定打席にも到達し、今やチームに欠かせない存在となった。

 立浪和義監督も「ゴールデングラブ賞のチャンスもある」と大きな期待を寄せている。ドラフト下位入団ながら、向こう数年間は中日の中心選手として活躍し続けてくれることは間違い無いだろう。

9位:若松駿太(12年ドラフト7位/投手/祐誠高)

 12年のドラフト会議で、NPB全12球団から支配下登録選手として最後に指名されたのがこの右腕だった。高校3年夏の大会は2回戦敗退、調査書は中日からしか届かなかった。だが、代名詞ともなる魔球チェンジアップを武器に、15年には10勝を記録する投手に成長する。

 担当スカウトであった渡辺麿史は、若松が高校2年生の頃からその投球に注目。大学・社会人に進んでは他球団との競合になると考え、高卒での指名に踏み切った。若松は18年に自由契約となり、中日での実働期間は短かったが、スカウト陣の戦略が奏功した好例と言える。
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著者プロフィール

1985年宮崎県生まれ。作家、専門はポップカルチャー。(株)フードコマ代表。大学在学中より日本と海外を往復しながら執筆業を開始。2012年より、日本ボクシングコミッション試合役員に就任。山中慎介や井上尚弥ら、日本人世界チャンピオンのタイトルマッチを数多く担当。親子三代に渡る生粋の中日ドラゴンズファン。著書に『のんびりイビサ』、『北朝鮮ポップスの世界』、『世界のスノードーム図鑑』など多数。

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