連載:プロ野球ドラフト史「全12球団“ヒット指名”ランキング」

会心のドラフト指名・日本ハム編 超大物を育て上げた確かな目と緻密な戦略

熊崎敬
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メジャー挑戦を表明していた大谷を強行指名。その後が日本ハムの真骨頂だった。熱意のある交渉とプレゼンで大谷の気持ちをがっちりと掴んだ 【写真は共同】

 各球団がこれまでにドラフト指名した選手の中で、一番の“ヒット”だったと言えるのは誰か。無名の選手や他球団の評価が低い選手の才能を見抜き、のちにチームに大きく貢献することになる金の卵を手に入れた「成功例」を識者に挙げてもらい、順位づけもお願いした。第3回は日本ハム。メジャー行きを表明していた大谷翔平の強行指名は果たして何位に選出されるのか?

10位:森本稀哲(98年ドラフト4位/内野手/帝京高)

06年から3年連続してゴールデングラブ賞を受賞し、07年には前年限りで引退した新庄剛志が背負っていた背番号1を継承。センターに定着した 【写真は共同】

 粗削りだが、俊足、強打の内野手は、3年夏の甲子園でプロ注目の和田毅(浜田高→早稲田大→ダイエー)からバックスクリーン弾を放って一気に評価を上げる。だが指名の決め手となったのは、プレー以外の行ないだったという。

 引退後に本人が明かしたところによると、下級生がいい加減にやっていたグラウンドの水まきを、お手本を見せる意味で丁寧にやっていたところ、それが山田正雄スカウトの目に留まったというのだ。きっちり水を撒く森本も素晴らしいが、こっそりグラウンドに足を運び、何気ない振る舞いに注視するスカウトの仕事ぶりも素晴らしい。

9位:中島卓也(08年ドラフト5位/内野手/福岡工)

 岩井隆之スカウトが注目の高校生右腕、三嶋一輝をチェックしようと試合に足を運んだところ、三島が打ち取った打球を軽やかにさばくショートがいた。内野手として大洋、日本ハムで13年プレーし、長くコーチを務めた岩井はひと目で気に入り、球団に報告。こうして中島は、法政大に進学した三島より4年早くプロ入りを果たした。

 「非力」と酷評された前に飛ばない打撃を逆手に取り、ファウルを打ち続けて球数を投げさせる粘りのバッティングを磨き上げ、6年目にしてレギュラー定着。西川遥輝とともに“タクハル”時代を築いた。
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著者プロフィール

1971年生まれ、岐阜県出身。サッカー専門誌編集者を経てフリーに。様々な取材で世界各地を渡り歩く日々を送っている。著書に『ゴール裏で日向ぼっこ』『JAPANサッカーに明日はあるか』『日本サッカーはなぜシュートを撃たないのか?』『北海道日本ハムファイターズあるある』、共著に『ブブゼラ!』がある。

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