連載:ヤクルトが強くなったワケ

五十嵐亮太と館山昌平がヤクルトの結末を占う! 最終盤の戦いは、さらに強くなるための布石

長谷川晶一
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シーズン最終盤のキーパーソンとして館山氏が挙げたのは石山泰稚。そのわけは? 【写真は共同】

 昨年、20年ぶりに日本一となった東京ヤクルトスワローズ。連覇を目指す今季は、圧倒的な強さで前半戦を折り返したものの、コロナ禍による選手の大量離脱以降、残り40試合を切った現在は一進一退の戦いが続いている。こうした現状をヤクルトOBたちはどのよう見ているのか? そこで、「五十嵐亮太氏×館山昌平氏」緊急OB対談を企画。両氏による投手目線の議論は、気になる今後の行方、シーズン終盤のキーパーソンに話題が及んだ。いよいよ、これからペナントレース最終盤が訪れる。両OBはこれからの戦いをどのように見ているのか? 勝負を決するポイントはどこにあるのか?(取材日:8月19日 ※成績はすべて取材日時点)

終盤のキーパーソンは木澤尚文と石山泰稚

――9月を目前に控え、いよいよペナントレースも終盤に差し掛かりました。横浜DeNAベイスターズが猛烈な追い上げを見せる中、スワローズ投手陣のキーパーソンは誰だと思いますか?

五十嵐 うーん、キーパーソンか……。僕の考えだと、「キーパーソンがいなくても何とかなってしまう」というのが、最近のスワローズだと思うんですよね。特定の誰かに頼らない。負担がいかない。誰かが調子を落としても、誰かがそれをカバーする。それが、去年からのスワローズだと思うんですよね。でも、強いて挙げるとすれば木澤尚文ですかね。

館山 僕も、ここまでずっと頑張ってきた中継ぎ陣を下支えする存在がポイントになると思うんです。具体名を挙げるとすれば大西広樹投手、そして石山泰稚投手ですね。特に石山投手ですね。

五十嵐 僕が木澤の名前を挙げたのも同じ理由で、「8回の清水昇、9回のスコット・マクガフ」が安定しているだけに、彼らにつなぐ存在がキモになると思う。崩れそうになる試合を持ちこたえることのできる中継ぎ投手として木澤の名前を挙げたんだけど、館山の言うように、大西、石山もその役割を任せられるべき存在だよね。

館山 絶対的な先発投手がいれば、そのピッチャーがキーパーソンになると思うんですけど、スワローズの場合は、それぞれいいところも悪いところもある。たとえば、ライアン(小川泰弘投手)は、遅いチェンジアップが有効だったけど、最近では相手球団から研究されてきている点。高橋奎二投手、高梨裕稔投手についてはストレートの強さがあるうちはいいけど、それが落ちてきたときに不安が残る点。サイスニード投手は高めに浮かなければ抑えられるけど、制球できない場合は逆球を狙い撃ちされる点……。

五十嵐 確かに、それぞれ不安点は残るよね。その点、中継ぎ陣に関しては質も量もあるから、安定的なピッチングを期待しやすい面はあると思いますね。

館山 五十嵐さんの挙げた木澤投手も、僕が名前を出した大西投手、石山投手も同じ立ち位置にいると思うんですけど、木澤投手が崩れ始めたときに、それを支えてくれるのが経験豊富な石山投手だと思うんです。今季はまだ24試合の登板しかない。非常にヘルシーな状態で、勝負の時期を迎えているのも心強い。きっと、高津監督はその辺りも見据えて、登板数の調整をしてきたんだと思いますね。
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著者プロフィール

1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターに。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。著書に『いつも、気づけば神宮に東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『生と性が交錯する街 新宿二丁目』(角川新書)、『基本は、真っ直ぐ――石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)ほか多数。

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