連載:ヤクルトが強くなったワケ

ヤクルトOB「五十嵐亮太×館山昌平」緊急対談! リーグ連覇に向けて温存しているものとは?

長谷川晶一
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今シーズン前半戦のヤクルトの圧倒的な強さについて、五十嵐、館山両氏はどのように分析しているのか。独自の視点で語り合った 【スリーライト】

 昨年、20年ぶりに日本一となった東京ヤクルトスワローズ。連覇を目指す今季は、圧倒的な強さで前半戦を折り返したものの、コロナ禍による選手の大量離脱以降、残り40試合を切った現在は一進一退の戦いが続いている。こうした現状をヤクルトOBたちはどのよう見ているのか? そこで、スポーツナビでは「緊急OB対談」を企画。現役時代には「ロケットボーイズ」の一員として、豪速球を武器に大活躍した五十嵐亮太氏。そして、2009年に最多勝を獲得し、その後も故障にも負けずに何度も復活した館山昌平氏。注目の対談、まずは「今季前半戦」を振り返る前編からお届けしたい。(取材日:8月19日)

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規定投球回数に達していないのがポイント

――5月の交流戦以降、驚異的な勝率で勝ち進んできた今年のスワローズ。現在は苦しい戦いが続いていますが、まずは圧倒的な強さを誇った前半戦の勝因をそれぞれ振り返っていただけますか?

五十嵐 前半戦はピッチャー陣の頑張りがとても大きかったと思います。先発陣も頑張ったけれど、特に中継ぎ陣が無敵でしたからね。8回・清水昇、9回・スコット・マクガフの安定感は昨年同様なんだけど、僕としては左の田口麗斗、そして右ではプロ2年目の木澤尚文が、本当によく頑張ったと思います。開幕時点で木澤のポジションとしては大下佑馬に期待していたんだけど、代わりに木澤が台頭してきたという印象ですね。

館山 僕も、前半戦に関しては中継ぎ陣の頑張りがすごく大きかったと思いますね。五十嵐さんと同じように、僕もキャンプの段階では大下佑馬投手、坂本光士郎投手に注目していたんです。右と左のサイドスロー投手で2イニングくらいしっかり投げて試合を作って、勝ち星を拾えたら面白いなと思っていました。木澤投手に関しては「正直、厳しいな」って、キャンプ段階では思っていましたね。

五十嵐 どういう点が? コントロールとか?

館山 そう、コントロールがバラバラでしたからね。昨年も二軍で防御率がよくなかったし、キャンプでも両サイドに何か目標をつけて腕を縦ぶりしないとストライクが入らない状態でしたから。ストレートは引っかいちゃうし、抜けちゃうしだったけど、ペナントレースに入ってからはツーシームとカットボールをメインにしてほぼほぼストレートを投げない。これがハマりましたね。あと、好調の要因としては「規定投球回数に誰も達していない(※8月22日時点、小川泰弘が到達)」というのも注目ポイントだと思いますね。

五十嵐 おーっ、それは面白い視点だね。去年もそうだったけど、今年も、常に規定投球回数に達しているピッチャーはいないからね。先発投手目線から見ると、どういう心境なの?

館山 他のピッチャーが3人も、4人も規定投球回数に達していたら、「オレも達したい」という気になって、多少コンディションが悪くても無理やり長いイニングを投げたり、「中5日でも行けます」って言ったりしがちだけど、誰も達していない中で、昨年のように5回、6回を全力で投げて、それを首脳陣も球団も評価してくれるというのは助かりますよ。だからみんながいい状態で回ることができた。それが、前半戦のスワローズだったと思います。
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著者プロフィール

1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターに。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。著書に『いつも、気づけば神宮に東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『生と性が交錯する街 新宿二丁目』(角川新書)、『基本は、真っ直ぐ――石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)ほか多数。

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