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『グラゼニ』森高夕次先生が注目する燕のリリーフ投手は? そして…夢の日本シリーズ対決、実現なるか!?

佐藤峻一

今シーズン2000試合出場を果たす球団マスコット・つば九郎のハンドパペットと、新作のカンフーバットを手に笑顔の『グラゼニ』原作者・森高夕次先生 【安井麻実】

 常に相手打者の年俸を考えて投げ込むサウスポー・凡田夏之介を描いたロングセラー漫画『グラゼニ』。2010年から週刊モーニング(講談社)で連載され、シリーズ第1弾は神宮球場を本拠地にした「神宮スパイダーズ」だった。原作者・森高夕次先生が注目するスワローズの選手たちと、夢の日本シリーズ対決への想いを語る!(取材日:6月8日)

さすが高津監督! あの投手を中心とした強力リリーフ陣が燕を優勝に導く

昨シーズンプロ野球新記録の50ホールドを挙げた清水昇(左)。プロ2年目からリリーフに転向し、2年連続の最優秀中継ぎ投手賞を受賞。今シーズンもリリーフ陣を支えている 【写真は共同】

――『グラゼニ』の第1部連載中(2010年12月~14年8月)、実際にはスワローズの優勝はありませんでした。好きなチームが躍進する漫画の原作を書く、というのは気持ちが良かったのではないでしょうか?

 僕は自分のこの『グラゼニ』の中で、スワローズ(マンガ内でのチーム名は「神宮スパイダーズ」)を優勝させたんですよ。自分の漫画なので、好きなチームを優勝させてもいいだろう、と。自分の中で自分の夢をかなえる、それは最高の快感です。

 その後で石井さんがイーグルスのGMになって今度は『パ・リーグ編』で、イーグルス(マンガ内でのチーム名は「仙台ゴールデンカップス」)を優勝させてしまって、そのときには石井さんに「今年、『グラゼニ』の中でイーグルスが優勝しますから」って、宣言したら「おお、いいじゃないですか」って、石井さんも喜んでいましたよ(笑)。

――他球団にはないスワローズの魅力とはなんでしょうか?

 僕は結局、スワローズの魅力は球場とセットになっていると思うんです。すぐそこにいる、あの神宮でやっている球団っていう。もちろん魅力的な選手も入ってきました。スワローズのスカウティングって、特に外国人選手を見る目とか、ドラフトで山田哲人選手や村上宗隆選手を引き寄せた運も含めて素晴らしい。

 あと、すごい玄人好みで地味なことを言わせてもらうと、リリーフ陣をよくつくったなと思います。リリーフ、特に中継ぎ投手はもともと有名だった選手はごくわずか。抑えは結構長年この人だっていう投手が他のチームでも多いけど、そこまでつないでいく中継ぎ投手は、どこのチームも割と入れ替わり立ち替わりが多いと思います。でも、それが去年から高津監督がものすごくうまいこと仕組んで、優勝。もちろんみんなの調子も良かったんだろうけど、スワローズすごいなと。ホールド数で日本新記録を達成した清水昇投手をはじめとしたリリーフ陣が大きな役割を果たして優勝ができたのだと思っています。

森高先生が愛してやまない、今季のスワローズ版・夏之介は誰だ?

昨シーズン加入した田口麗斗。5月24日の北海道日本ハム戦では同点の延長10回表無死満塁に登板し、見事三者凡退。村上宗隆のサヨナラ弾を導く、球団史に残る「田口の20球」だった 【写真は共同】

――今注目しているスワローズの選手は誰でしょうか? 投打ともに教えてください。

 まずはやっぱり村上選手ですね。特に興味があるのは天才と言われる選手です。この時代に生きていて、そんな天才的な人ってなかなか見ないでしょう。自分が生きている間にどういう天才と出会えるか。同時代にこんな天才がいて、その人を直に見られる幸せっていうか、それが球場に行く幸せだと思います。

 そういう意味では山田選手も。2016年に対談させていただいたのですが、そのときに600本塁打・3000安打、絶対打ってくださいってお話したんです。山田選手って、僕なんかの価値観で言うと求道者に見えるんです。今を生きることに精いっぱいで、そのために毎日猛練習しているんだなって感じがして素敵です。彼の場合は天才ということはもちろん、本当努力家に見えますね。

 投手では『グラゼニ』の主人公の凡田夏之介に最も近いのは田口投手かもしれないですね。実は田口投手がブレイクした年に、巨人のキャンプで見ているんです。2年目で、紅白戦がこれから始まるっていうグラウンドで見ていたら、まだ体も小さくて顔もあどけなくて。そんな不安な目で見ていたらボッコボコに打たれたのを目の当たりにしました。でも、なんとその年、巨人で10勝、すごい勝っちゃって。「うわーっ、あのとき見た田口って選手がこんな大活躍しちゃったよ!」みたいな感じでした。それから田口投手が大好きになりました。

 その後スワローズに移籍してくる前年(2020年)に東京ドームに取材に行って、たまたまエレベーターで一緒になったんです。知り合いではないので話しませんでしたが、4年前に「田口小っちゃいなあ」って思っていたのが、そのとき間近で見たらもう分厚くてパンパンっていう感じで「全然違うぞ、もう分厚くなった、相当体作ったな」って感心しました。なので、昨年スワローズに来てからはもう「田口頑張れ!」と。彼は本当に最高の中継ぎですね。

 あとは石井投手がかつてつけた歴代の背番号16にも期待しています。今は原樹理投手ですよね。今年もローテーション投手として投げていますが、過去に偉大な先輩が付けた番号の重圧に負けずに活躍してほしいと願っています。

 それと塩見泰隆選手。昨年の優勝は村上・山田・オスナ・サンタナ選手の主軸に加えて塩見選手がいたことが大きかったと思います。塩見選手ってバイプレイヤーと思うんですが、こんな強いバイプレイヤーっていないと思うんですよ。塩見選手の活躍が、去年スワローズが優勝できた大きな一因ですね。

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