Bリーグ月間MVP特集

川崎の藤井祐眞が3月度月間MVP受賞 抜群の得点力を発揮、昨季に続いて2度目の栄冠

3月の「月間MVP」を受賞した川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞。攻守においてチームをけん引した 【(C)B.LEAGUE】

 Bリーグは月間MVPに相当する「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」を、昨シーズンからファン投票で選んでいる。川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞選手が2022年3月の受賞者となった。

 川崎は3月、リーグ戦9試合で7勝2敗と勝ち越し。千葉ジェッツを下して連覇を達成した天皇杯連覇では、25得点を挙げた藤井が大会MVPに輝いた。

 現在30歳の藤井は、178センチ75キロのポイントガード。藤枝明誠高校、拓殖大学を経て、2014年に東芝ブレイブサンダース神奈川(現川崎)でキャリアを始めた。ベスト6thマン賞を受賞するなど、主に試合の流れを変える控えポイントガードとして活躍してきたが、2020-21レギュラーシーズンでは2年連続でベストファイブに選出。守備での貢献度も高く、2年連続でベストディフェンダー賞にも輝いている。

 3月は日本人1位かつチームトップの平均16.4得点を記録。第27節の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦では2試合連続で20得点越えをマークするなど、抜群の得点力でチームを引っ張った。2020-21シーズン(3月度)に続いて2度目のMVP受賞を果たした川崎のキャプテンに話を聞いた。

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積極的な姿勢で得点力アップ

――3月の月間MVP受賞、おめでとうございます。まずは受賞の感想を聞かせてください。

 こういった賞をいただけるのはなかなかないことですし、本当にうれしく思っています。候補選手3名の名前が挙がった時、(島根スサノオマジックのペリン)ビュフォード選手が受賞すると思っていたので、まさか自分が取れるとは思ってもいませんでした。皆さんの投票で決まるということなので、本当に皆さんのおかげだと思います。本当に感謝したいです。

――3月は日本人1位かつチームトップの平均16.4得点を挙げ、第27節の名古屋D戦では2試合連続で20得点越えを達成しました。シーズン後半にかけて平均得点が上がっていますが、自分の中で何か変化があったのですか?

 自分自身の中で特別な変化があったわけではありません。ここ最近は個人として非常にいいシュートを打てていると感じます。平均得点が上がっているのは練習後にニック(・ファジーカス)と一緒にシューティングしているおかげかもしれません。

――3ポイントシュートの試投数を見ると、昨シーズンの59試合206本に対し、今シーズンは43試合で205本(取材時点)も放っています。多く放っているのはシュートタッチが良くなっているからですか?

 そのとおりです。最初に何本も外してしまう時は、切り替えてドライブを仕掛けることなどを考えなければいけません。ただ、最初に1、2本決まれば、思い切り打つことを意識しています。思い切りの良さがいい流れにつながっていると考えています。

――3月は9試合で46本のフリースローを試投し、41本成功しています。積極的にアタックできている証拠だと思います。

 常にゴールに向かってアタックする気持ちを持っています。相手のチームファウルがたまっている状況で一番効果的なのは、ファウルをもらってフリースローを打つこと。相手のファウルを誘って、フリースローで簡単に得点を取ろうという意識を持っていますし、フリースローで得点を稼げているのはいいことだと思います。

――3月は天皇杯決勝を含めてハードな日程だったと思います。リーグ戦では9試合で7勝2敗の成績を残しましたが、その戦いぶりを振り返ってください。

 敗れた信州(ブレイブウォリアーズ)戦はジェイ(ジョーダン・ヒース)を欠くなど、チーム全員がそろっていない状況での試合を強いられ、チームにとっても苦しかったです。ただ、ジェイが戻ってきた2戦目からは、自分たちのバスケットを取り戻せたというか。2戦目は非常にいいバスケットを展開できて、そこで持ち直せたと思っています。その後は天皇杯(決勝)で千葉(ジェッツ)に勝ったことによって、自信につながりました。水曜日にリーグ戦、土曜日に天皇杯決勝と、難しい日程でもありましたが、自分たちの持ち味を非常にいい形で、あの一発勝負で出せたと思います。

――天皇杯決勝では試合開始に喫した0ー8のランでも我慢して、15ー0のランでやり返したことが大きかったように感じました。

 出だしで富樫(勇樹)選手にやられてしまったので、「自分がやり返すんだ」というマインドを持っていました。実際にやり返すことができたのは非常に良かったと思います。

――4本の3ポイントシュートを含む25得点をマークしました。かなり“乗っている”ように見えました。

 気持ち的には本当に“乗っていた”というか。最初にシュートが2本ぐらい入ったところで、積極的に打とうと思っていました。流れが自分たちにきていたこともあり、どんどん打っていこうと考えていましたね。それが結果的に、前半は非常に高確率でシュートが入りました。本当に気持ちで打ち続けたというか、決めきったというか。気持ちは完全に乗っていましたね。

――試合後の記者会見で「(篠山)竜青さんのようなキャプテンになることはできませんが、僕なりのキャプテンシーを発揮してチームを引っ張っていきたいと思います」とコメントしていたことが印象的でした。自分なりのキャプテンシーをどのように思い描いていますか?

 自分はあまりキャプテンらしくないキャプテンというか。「キャプテンだからなにか」というのはこのチームにいらないと思っていて。チームメートやコーチ陣と積極的にコミュニケーションを取っていけたらと思っています。ただ、キャプテンだから、みんなに声を掛けて、鼓舞して、励まして、といったことは全く意識していないですね。プレーする時は全力でプレーする。今シーズンはチームとして『MOVE』というスローガンを掲げていますが、それを僕がしっかりと体現して、チームを引っ張っていけたらと思っています。

――キャプテンを務める上で、篠山選手やファジーカス選手などチームでの経験が豊富な選手は大きな存在だと思います。

 ニックは試合中にみんなをまとめて、「次はこうしよう」と呼び掛けてくれます。竜青さんも同じくいろいろな声を掛けてくれて、そういう意味で本当に助かっています。

――2年連続でベストディフェンダー賞を受賞しています。今シーズンのディフェンスについて手応えを感じていますか?

 ボール運びのプレッシャー、スイッチした時のビッグマンへの対応など、そういったディフェンスはこれまでと変わらず意識してプレーできています。チームの流れが悪い時や相手に流れがいきそうな時は特に意識し、前からプレッシャーを掛けて、相手がやりたいことを少しでも壊せたらと思いながら守っています。ただ、チームは3月後半、少し失点が多くなってしまい、いい時間帯もあれば、悪い時間もありました。僕個人はもちろん、チームとしても、もう一度ディフェンスを見つめ直さなければいけないと思っています。

――ガードを本職とする外国籍選手が増えてきています。彼らとのマッチアップについてはいかがですか?

 富樫選手のように、ガンガン攻めてくるタイプの選手と対峙(たいじ)するのは楽しいですよ。日本人選手でも富樫選手だけではなく、齋藤拓実(名古屋D)選手などとマッチアップする時は、ディフェンスで気合が入ります。

――東芝時代を含め在籍8シーズン目を迎えています。大きく変化しているリーグについて、選手としてどのように感じていますか?

 非常にうれしいですね。バスケットボールがもっと発展して、日本を代表するスポーツになればいいと思っています。そのためにも、もっと盛り上げられるように頑張りたいです。

――川崎全体の盛り上がりはいかがですか? 例えば、声を掛けられる回数が多くなったとか。

 街でたまに声を掛けられることはありますね。コロナ禍が少し落ち着き、1月の三遠(ネオフェニックス)戦からアリーナの収容人数が100パーセント(※席詰め・5000人)に戻りました。コートに立った時、「観客が少しずつ戻ってきたんだな」、「会場全体が盛り上がってきたな」と感じ、プレーしていて非常に楽しかったです。

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著者プロフィール

日本バスケを盛り上げよう! 2016年に生まれたプロバスケットボールリーグ、「Bリーグ」と時を同じくして立ち上がった、日本バスケの魅力を伝えるバスケットボール専門サイト。男女日本代表、NBA、高校バスケもアツくフォローしています。

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