Bリーグ月間MVP特集

横浜の河村勇輝が月間MVP受賞 Bリーグを沸かせる現役大学生プレーヤーが初の栄冠

大島和人

1月の「月間MVP」を受賞した横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝。1月は1試合平均14.4点8.4アシストの活躍でチームをけん引した 【(C)B.LEAGUE】

 Bリーグは月間MVPに相当する「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」を、昨シーズンからファン投票で選んでいる。2022年1月の受賞者は「特別指定選手」として横浜ビー・コルセアーズでプレーする河村勇輝選手に決まった。

 特別指定選手は満22歳以下のプレーヤーを、通常のロスター(10〜13名)と別に2名まで登録できる制度。大学や高校のバスケットボール部に所属しつつ、プロのコートに挑戦できることが大きな特徴だ。

 河村は福岡第一高校でウインターカップの連覇を経験し、現在は東海大学のバスケットボール部に所属。高校卒業間際だった2020年1月に三遠ネオフェニックスで鮮烈なB1デビューを飾り、2020-21シーズンと2021-22シーズンは横浜でプレーをしている。

 彼は172センチと小柄ながらスピードとスキルに恵まれ、得点力は既に日本人選手の中でも最高レベル。今季は大学のシーズンを終えた12月下旬からBリーグに合流し、1月は1試合平均14.4点8.4アシストを記録した。今回のインタビューはそんな日本バスケの注目株に“脱皮”の背景、東海大での取り組み、ファンへの思いを存分に語ってもらっている。

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強度の高いディフェンスに対しても「自分のプレーをブラさずに工夫してシュートを打てば大丈夫」

――2022年1月の「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」受賞、おめでとうございます。まず感想をお願いします。

 ありがとうございます。本当に恐縮というか、光栄な賞をいただいて、たくさんの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

――1月の5試合を振り返ると、河村選手は平均14.4得点8.4アシストを記録しています。「ここが良かった」というポイントはありますか?

 チームとして3勝2敗で、自分たちとしてはいい結果を残すことができました。チームの勝利に少しでも貢献でき、そこが良かったと思います。

――数字も大切だと思います。その部分はどうですか?

 そんなに数字を意識してプレーしている感覚はありません。(青木勇人)ヘッドコーチから求められているのは、まずドライブしてアタックして、得点を取れれば取りにいくこと。相手の守備がシュリンク(収縮)してヘルプにきているのなら、周りのシューターを生かすという感じです。それをずっとブラさずやり続けた結果が、スタッツに少し表れたイメージですね。

――河村選手が選ぶ1月のベストゲームはどの試合ですか?

 やはり秋田(ノーザンハピネッツ)さんとの第2戦ですね。

――1月23日(日)、横浜が延長の末に102―97で秋田を下した試合です。河村選手も26得点9アシストを挙げています。どんな考え、思いで臨んだ試合でしたか?

 ちょうどコロナ明け(チーム活動再開後、初の試合)ということもあって、なかなかチームとして練習ができておらず、個人的にもコンディションはあまり良くない状況でした。第1戦はなかなかうまくいかずに19点差で完敗してしまいましたが、プロとしてもコンディション不良は言い訳になりません。ましてファンやブースターの方々がいる限り、しっかりとした試合をして勝つことが大事だという気持ちで、第2戦に入れました。第1戦と違ったアグレッシブなプレーを出せた、強い気持ちを持って戦えたからこそ、いい結果に結びついたと思います。

――秋田の守備は高い位置からプレッシャーを掛けますから、ポイントガード(PG)として少しやりにくいと思いますが、そこへの狙いや工夫はありましたか?

 スカウティングで秋田さんの試合を見ていて、PGへのディフェンスの圧がすごいだろうな……というのは感じていました。圧に負けない気持ちで戦えていたことが、逆にアグレッシブさにつながったところかもしれないです。

――「最初の圧を剥がせば、その先はいける」みたいなイメージも?

 秋田さんはPGへの圧だけでなく、ブロッカーもしっかりいて、組織的なディフェンスのチームでもあるので……。ただ最初のPGへのところのディフェンスを抜けさえすれば、あとは自分のプレーをブラさずに工夫してシュートを打てば大丈夫という感覚も確かにありました。

――河村選手が結果を出し始めて、相手チームの対応に変化もあったのではないですか?

 ここ何試合かは感じています。自分の強みの一つはピック&ロールでのオフェンスなので、2月はそこのディフェンスをすごく対策されているイメージです。トラップ(=ダブルチーム)だったり、周りがうまくヘルプしてきたり、これまでと違う動きもある。それも「こういったのもあるんだ」という、いい経験になっています。

――スクリーンを使ってズレを作っても、その次のスペースまで消されている感じですか?

 そうですね。ただ、それはプルアップのシュート、ピック&ロールのあとのミドルレンジのシュートをもっと増やしていけば問題ない部分です。そこが難しいんですけど、シュートのバリエーションをもう少し増やしていかないとな……と感じています。今はペイントエリア内か3ポイントがシュートの割合的にすごく多いので、ミドルレンジやフローターをもう少し増やしていきたいです。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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