連載:セ・パ名捕手が選ぶ! 2022年期待の若手選手たち

巨人は育成右腕、DeNAはドラ1に熱視線 谷繁元信が注目する期待の若手投手は?

小西亮(Full-Count)
 プロ野球は2022年の球春を迎え、3月25日のペナントレース開幕へと向かっていく。セ・リーグでは昨季、最終盤まで優勝争いがもつれる展開に。ヤクルトがリーグ優勝と日本一を飾ったが、今季も混戦になる可能性は十分にある。

 各球団の浮沈を左右するキーマンとしての成長が期待される若手選手は誰か――。大洋・横浜と中日で通算3021試合出場のプロ野球記録を持つ元中日監督の谷繁元信氏が、投打それぞれの注目選手を挙げる。まずは、投手編。ダークホースの育成選手から、「もっとやれる」という意味でのエース級まで、多彩な顔ぶれが並んだ。

ヤクルト奥川は中6日の登板でどうなる?

東京ヤクルト・奥川は技術面では問題なし。スタミナ&メンタル面が10勝以上勝つためのポイントになりそうだ 【写真は共同】

――リーグ王者のヤクルトから伺います。連覇に向け、欠かせない投手は誰になると見ていらっしゃいますか?

 ドラフト1位の山下輝(法大)も楽しみですが、やっぱり奥川(恭伸)でしょう。高卒2年目の昨年は9勝。登板間隔を空けながらシーズン通して投げていましたが、今年はそういうわけにもいかないかなと思っています。中6日のローテーションで回ってみて、どれだけ成績が残せるかで、チームの順位もかなり変わってくるような気がします。

――シーズン通してローテを担うとなると、当然苦しい時期も出てきます。

 スタミナ的にも、メンタル的にも、昨年とは違った過酷さが出てくる。ただ彼の場合、投球術はあるので、どちらかと言えば体力面の課題をどう乗り越えるかでしょうね。対処次第でさらに良くなっていくのか、平行線をたどるのか、落ちていくのか。奥川にとってもすごく大事な1年になるんじゃないかなと。

――日本シリーズまで戦った分、オフの期間が短い状況で迎える新たなシーズンです。

 奥川だけに限ったことではないですが、どう体のケアとトレーニングをやってきたかが問われると思います。まずはキャンプ、オープン戦で怪我をしないこと。今年は最低ラインとして、2桁は勝ってほしいですね。ヤクルトの先発陣は奥川と高橋(奎二)、左右の2枚が引っ張っていかないといけません。

――そのヤクルトとゲーム差なしの2位と届かなかった阪神はいかがでしょう?

 高橋遥人ですね。いやもう、もの凄いピッチャーですよ。昨年9月に故障から復帰して試合を見た時、「これは打てないな」っていうボールを投げていましたからね。ボールの質は、セ・リーグの左投手の中ではトップクラスなんじゃないかと思います。

――昨シーズンはキャンプ中の故障が響き、1軍で7試合登板にとどまっています。

 チームとしては、1年間通して投げられていないというのが痛いですよね。昨年後半のような姿で、シーズンの8割くらい1軍にいることができれば。そのためには、やっぱり体力面が重要になってくると思います。

――阪神は昨シーズン、青柳晃洋が13勝で最多勝、秋山拓巳と伊藤将司が10勝。先発陣はコマが揃っていた印象もあります。

 ピッチャーがいると言われていますが、「これが柱」という投手がなかなかいない。あと投手陣全体で言うと、守護神だった(ロベルト)スアレスが抜けたのは痛い。今年は延長12回までになるようですし、リリーフ陣が少し不安です。

巨人は育成の堀田ら若手に注目

千葉ロッテ・佐々木朗、東京ヤクルト・奥川、オリックス・宮城らと同級生。巨人の3年目・堀田賢慎の飛躍が期待される 【写真は共同】

――3連覇を逃した巨人の先発陣はどうでしょう? エースの菅野智之をはじめ、戸郷翔征、高橋優貴、C・C・メルセデス、山口俊ら頭数は揃っているようにも思います。

 延長12回制になれば、昨年のように先発5人で回すのはまず難しい。6人いたとしても、疲れや不調は必ず出てくる。そうすると、チーム全体で12人くらいは必要になってくるんですよ。そう考えると、ジャイアンツの先発陣はちょっと薄いかなと。

――となると、若手の台頭も不可欠。

 高卒3年目の堀田(賢慎)は、いいボール投げるなと期待しています。バランスのいい投げ方をしていて、センスを感じる。今年も育成からのスタートですけど、早く支配下に戻って先発ローテーションに入ってくると楽しみですね。あと、ドラフト1位の大勢(翁田大勢)も気になっているんですよ。ロッテの抑えの益田(直也)みたいな変則気味なんですが、いいストレートを投げるんですよね。

――ここからは昨シーズンBクラスに甘んじた3球団についてお伺いします。リーグ3連覇以降、低迷する広島で注目する選手は?

 広島はあえて森下(暢仁)ですね。大瀬良(大地)と2枚看板でやっていってもらわないといけない存在です。中継ぎ陣は昨年に栗林(良吏)が入って整備されてきている分、頑張らないといけないのは先発陣。その点では、森下がカギを握っているんじゃないかなと思います。

――昨シーズンは24試合に登板して8勝7敗、防御率2.98。決して悪くない成績ですが、新人王を獲得した2020年と比べると物足りなさも?

 ピッチャーとしては、もう出来上がっています。ただ、昨年は粘り切れていなかった。自分で決めにいったボールが、思ったように決まっていなかった印象。ストレートがシュート回転している場面が多かったように思います。両サイドのアウトローにしっかり決められるようになると、もっと良くなってくるなと感じています。

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著者プロフィール

1984年、福岡県出身。法大卒業後、中日新聞・中日スポーツでは、主に中日ドラゴンズやアマチュア野球などを担当。その後、LINE NEWSで編集者を務め、独自記事も制作。現在はFull-Count編集部に所属。同メディアはMLBやNPBから侍ジャパン、アマ野球、少年野球、女子野球まで幅広く野球の魅力を伝える野球専門のニュース&コラムサイト

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