<特別対談>水谷隼×石川佳純 レジェンドが語る日本卓球界への思い

照井雄太

互いに公私でも親交が深い水谷と石川(写真)。練習では対戦したこともあるという 【Getty Images】

 東京五輪で金メダルを獲得し、現役引退をした水谷隼。一方、東京五輪団体銀メダリストで、1月の全日本選手権で6回目の優勝を目指す石川佳純。ともに長年日本代表で活躍した2人の関係性や、日本のエースだった2人にしかわからない苦労、そして今後のセカンドキャリアについて、終始にこやかに時には真面目にじっくり語ってもらった。特別対談を前後編でお届けする。(後編は27日掲載予定)

プライベートでは「かすみん」「水谷くん」と呼んでいる

――そもそもお二人はなんと呼び合っているのでしょうか?

水谷「かすみん」と呼んでいます。

石川 私は「水谷くん」と呼んでいます(笑)。

――水谷さんの著書でも他の女子選手とは行かないけど、石川さんとは食事に行くと書かれていたのですが、どんな話をされますか?

石川 卓球の話を聞いたら真剣に話してくれますし、真面目な話から、楽しい話まで本当にいろいろな話をします。この前も五輪が終わってから、わざわざ時間作ってもらい、連れて行ってもらいました。私たちがしつこく「連れて行って下さい」とお願いして(笑)。美味しいものを食べさせてもらいました。いつもおごってもらっています(笑)。

――お互いの印象はいかかでしょうか?

水谷 すごい、おだやかな感じ。いつもニコニコしているイメージ。あと、ちょっと僕のことを小馬鹿にしてきます(笑)。

石川 しないですよー!そんなわけないですよー(笑)。

水谷 卓球選手としてはよく考えていて賢いなと。相手の嫌なところとかをすごく勉強して、プレーに活かしているなと思います。

石川 うれしいです(笑)。

――石川さんからもお願いします。

石川 誰もが認める卓球界を引っ張ってきた方で、レジェンドだと思います。全日本選手権でも、水谷さんが高校生で初優勝した時からずっと見ているので、本当にずっとすごいなーと。水谷さんから年下の選手は。みんな背中を追いかけている感じです。常に新しい歴史を切り開いている方だと思います。

 性格は私と違って本当に穏やかだと思います(笑)。怒っているところを見たことがないです。普段はすごく優しいですが、試合前は近寄れないオーラはあります。試合をしている時と普段は結構違うと思っています。

水谷 ありがとうございます。いいコメントしてくれて(笑)。

――先日、水谷さんのTwitterで、夢で石川さんと試合をして負けたというのを見たのですが…。

石川 え?私と?見てないんですけど!わたし勝ったんですか?

水谷 負けた気がする。

石川 よっしゃー!えー、すみません、見てなかったです、あとで見ます。やったー、水谷くんの夢に出てきて、しかも勝った。

水谷 ちょっとトラウマになっている。起きた瞬間に「あー、俺負けたんだー」と思って(笑)。

――実際、お二人で試合や練習したことはありますか?

石川 練習は何回かしてもらったことあります。絶対勝ちたいんで、8か9か10点ハンデでやりました(笑)。

水谷 ハンデなんてなくて良い勝負ですよ(笑)。

――どっちが勝つんですか?

石川 あまり覚えてないんですけど。ハンデがハンデなんで…。

水谷 ただ、1つ言えるのは僕が勝った時はかならず「もう1ゲームやろう」と言われます。永遠に終わらない…みたいな(笑)。

石川 いやいや、せっかくなので、もう1ゲームやってみたいなって(笑)。最後は負けてくれて終わるんですよね。終わらないので。

かすみんの全日本Vに感動(水谷)。五輪の水谷くんはカッコいい(石川)

お互いが東京五輪での活躍を喜び、称えあっていた 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

――お互いに印象的な試合はありますか?

水谷 僕は伊藤美誠選手に勝った昨年の全日本選手権決勝。最初から最後まで見ていて、序盤すごく劣勢で押されていたのに、最後勝ち切ったのですごく印象に残っています。

石川 私はいっぱいあるのですが、全日本の決勝で吉田海偉さんに勝った試合とか、めちゃめちゃ印象に残っています。黒いシューズ履いていた時?

水谷 初優勝の時かな。17歳で。

石川 すごく印象に残っています。もちろん、東京五輪も。混合ダブルスは現地で見られなかったんですが、テレビで最初からずっと見ていましたし、男子団体の銅メダル決定戦もすごく印象に残っています。リオ五輪のシングルスのプレーも、すごく印象に残っています。

――お互いの大事な試合は印象に残っているんですね。

石川 やっぱり10年以上、同じ大会に出させてもらって見てきているので、印象深い試合は本当にたくさんあります。

――石川さんの全日本優勝はすごく感動して泣いた人も多かったと思います。

水谷 僕もすごく感動しました。
――もちろん、東京五輪の水谷さんも、さすが水谷隼!と思った人が多かったと思います。

石川 かっこよかったですねー。

水谷 何?もう1回言って、聞こえなかった。

石川 かっこよかったです!団体の銅メダル決定戦の時も、みんな言っていましたよ。かっこいいーって!

水谷 それを言っておけば、食事に連れてってもらえるだろうみたいに?ちょっと小馬鹿にしてるんだよなー。

石川 いやいや!本当です!すごいなーって。ここにピッタリ合わせてくるのが。

――水谷さんは、東京五輪混合ダブルスで金メダル。石川さんも世界選手権混合ダブルスで優勝していますが、もしどちらかが右利きだったとして、ペアを組んだらどうなりますか?

石川 あまり考えたことなかったですね。

水谷 ミックスでは実際に何回か対戦しています。3・4回試合しているよね?

石川 対戦した時は水谷さんのボールが取れなくて、超やりにくいです。サーブも全部ずらされる。弱点もバレているし、ボールが嫌なところしか来ない。だから、味方になって組んでみたいです。左利き同士なので、なかなか難しいですけど。

水谷 左利き同士でもいけるよ!

石川 そっか、東京五輪でも水谷さんと丹羽(孝希)さんが組んでいたし。ぜひ、お願いします!

水谷 何年後?来年くらいでいい?(笑)。

石川 はい!予約しました(笑)。

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著者プロフィール

1986年神奈川県生まれ。滝川第二高校、筑波大学で卓球に打ち込む。卒業後は、一般企業就職後、卓球の仕事がしたいと思い、2018年10月開幕直前から卓球の「Tリーグ」に転職。Tリーグでは試合運営の他、メルマガのコラム担当し、また不定期でスポーツメディアの卓球コラムを執筆している。

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