一体どうなる「セ・リーグDH制」論争 スポナビユーザーは賛成派?反対派?
「セ・リーグDH制」賛成派の声
セ・リーグDH制論争の発端となった、2019年の日本シリーズ。巨人を終始圧倒した福岡ソフトバンクの強さに衝撃を受けたファンは多いはずだ 【写真は共同】
「パ・リーグとの格差の撤廃」
「両リーグ同じルールのほうがよい」
「セとパを統一することで、日本シリーズでその年に一番強いチームが分かるのではないか」
表現は若干異なるが、原監督の主張に近い意見と思われる。あの巨人が日本シリーズで同じチームを相手に8連敗したという結果は、敗軍の将自ら球界改革を促すほど、衝撃的な出来事だったのである。
「DHなら輝ける選手がいるから」
「ドラフトで打撃に特化した選手を指名しやすくなり、パ・リーグとの格差が縮まる。現状では西武の山川などはセ・リーグの球団は二の足を踏むであろう」
DH制は打者にとって、レギュラーポジションがひとつ増えるようなもの。守備が苦手なセの選手にとって、DH制の導入によって得られる恩恵は大きい。また、パの野球の方が“攻撃的”と言われるのは、DH制によって打撃に特化した選手を起用できている側面も無視できないだろう。
「打てない打たない投手の打順は面白くない」
「投手の打つ気ないそぶりが嫌」
「ピッチャーが怪我をしない」
このような投手に対する言及も多かった。確かに、打席に立った投手が時折見せる覇気のないスイングは、頭では理解していても興をそがれることがある。逆に、打つ気満々の投手が打席に立つと、「怪我をされては困るけど、頑張れ」と応援したくなるものだ。
「先発投手が調子良くても6回、7回にチャンスで代打が送られて交代、というのがつまらない」
「気の抜ける打者が減るから、ピッチャーのレベルアップにつながると思う」
「打撃戦が多くなり、観てて楽しみが増えるので」
投手と野手がそれぞれの持ち場に専念することで技術が研さんされ、よりハイレベルなゲームが展開されるようになる――。セ・リーグがDH制を導入することに賛意を表す意見には、投手と野手のさらなるレベルアップにつながることに期待するファンの思いを感じとることができた。
「セ・リーグDH制」反対派の声
桑田真澄(写真)や松坂大輔など、打つ気満々の“強打の投手”が見せるバッティングは、セ・リーグの見どころのひとつだ 【写真は共同】
「セ・パ違うほうが、特色があって面白い」
「セ・パで野球のスタイルが違うからプロ野球が面白い。交流戦も違いがあるから面白い!」
ごもっともな意見だ。セ・パが同じDH制で開催されるようになると、“2リーグ感”が薄れそうである。
「投手の交代のタイミングなど、監督の戦略の一つとして魅力がある」
「野球は9人でするスポーツだから」
これは野球の本質にかかわるコメントだ。あの名将・野村克也監督も生前、同様の持論を語っていた。南海、ロッテ、西武と、選手としてはパ・リーグ一筋でプレーしてきた野村監督だが、パのDH制には反対だった。監督がグラウンドにいる9人をいかに適材適所で動かすか、それが野球の醍醐味(だいごみ)だというわけだ。
「投手が打席に立つ意外性。投げる側は抑えることが当然の中、必ずしもそうならない面白さがある」
「投手の継投のタイミングなど、投手の打席があるから面白い。自分で打って勝ち投手になるなど、まさかということが起きるためにはDH制は不要」
「打撃の良いピッチャー(大野雄大、西勇輝など)のバッティングは見てみたい」
「藤浪のホームランが見られなくなる」
投手が打席に入ること、確率は低いものの、大事な場面で放つヒットやホームランに魅力を感じているファンは一定数いるということがわかった。また、桑田真澄や松坂大輔、西勇輝のようなバッティングが得意な投手の打席は見たいという答えも散見された。
「巨人の都合に合わせる必要はない」
「セ・リーグが弱いのはそういうことじゃないと思うから」
こうした辛口コメントは反対派だけでなく賛成派にも多かった。いずれにしても、ファンが求めているのは、思わず「さすが」と唸(うな)りたくなる、見ていてワクワクする、プロフェッショナルの野球だ。どちらの結果に落ち着いても、指揮官はもちろん、プレーする選手たちもこの点は忘れないでほしいものだ。
(構成:スリーライト)