無良崇人が総括するGPシリーズ6戦の出来 各国出場枠争いをリードする男子選手は?

野口美恵
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GPシリーズ2連勝と勢いに乗る鍵山。GPファイナルの舞台がなくなったのは残念だが、全日本での滑りに期待が高まる 【アフロ】

 北京五輪の前哨戦と目されていた2021年のフィギュアスケート・グランプリ(GP)ファイナルがコロナ禍の影響で中止になり、トップスケーターたちが一堂に介する大舞台が開催されぬままシーズン前半の国際大会が終了した。幻となったGPファイナルに進出予定だった宇野昌磨(トヨタ自動車)、鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)の日本勢二人は、全日本選手権(12月22〜 26日、さいたま)でもその勢いを維持できるのか。

 また、ネイサン・チェンを中心に3選手がGPファイナル進出を決めていた米国の代表枠争いも注目だ。果たして各国の有力選手たちは、代表選考を前にどんな仕上がりを見せているのか。今回は2014年四大陸選手権王者の無良崇人さんに男子シングルを中心にGPシリーズ6戦を総括してもらうと同時に、北京五輪の各国出場枠争いについての展望を語ってもらった。(取材日:12月6日)

GPで2連勝の鍵山は「練習の積み重ねが成果に」

2014年の四大陸選手権王者である無良崇人さんに、五輪シーズン前半の振り返りと各国の代表枠争いについて語ってもらった 【写真:本人提供】

――2021年のGPファイナルは、コロナ禍の影響で中止となりました。本来、五輪シーズンのGPファイナルはどんな位置づけになるのでしょう?

 五輪シーズンのGPファイナルは、五輪選考にも関わる重要な大会です。全日本選手権が最終選考ではありますが、GPファイナルの結果が非常に良ければ加味されるのが実際のところ。また、全日本選手権の前に、国際大会で評価を上げてから臨む意味でも有意義な機会となります。

特に鍵山選手のような若い選手にとっては、GPファイナルに出ること自体に価値があり、五輪に向けてさらに評価を上げるチャンスだったと思います。体力や調整面でも、GPファイナルが終わってから全日本選手権の会場入りまでは、1週間ちょっとなので、ピーキングを変える必要もありません。GPファイナルに向けてピークを作って、そのままの流れで全日本選手権に臨めると思います。

――鍵山選手は、GPシリーズ2連勝の勢いでシーズン前半を駆け抜けました。

 かなり良い流れでしたし、国際ジャッジからの評価も高いという事実を、GPシリーズ2戦ですでに印象づけました。GPファイナルがあれば、チェン選手や宇野選手と同じ試合で「彼の評価がどれくらい出るか」「ネイサンにも迫れるのか」に注目する五輪前哨戦になったでしょう。

――GPシリーズ2戦の時点でもすでに、演技構成点(PCS)が9点台で高い評価でしたね。

 鍵山選手の持ち味は、4回転ジャンプに加えて1つひとつの要素の技術がしっかりしていて、基礎スケーティングのレベルも高いこと。ここ2シーズンを通して演技構成点は少しずつ上がってきましたし、シーズン前半から9点台を出せたことで世界選手権や五輪に向けて仕上がっている感覚にもなります。大きな自信になったことでしょう。

彼の場合は、とにかく練習の積み重ねをしっかりこなします。練習では、1回ミスしたところは、何度もできるまでやり直します。曲かけも、1回やって違う選手がかけたら、また次は鍵山選手が率先して「またかけたい」と言ってかけるというペースで積み重ねていく。そこまで徹底的に反復したことが、試合で「ここまで練習してきた」という自信になっています。
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著者プロフィール

野口美恵

元毎日新聞記者、スポーツライター。自らのフィギュアスケート経験と審判資格をもとに、ルールや技術に正確な記事を執筆。日本オリンピック委員会広報部ライターとして、バンクーバー五輪を取材した。「Number」、「AERA」、「World Figure Skating」などに寄稿。最新著書は、“絶対王者”羽生結弦が7年にわたって築き上げてきた究極のメソッドと試行錯誤のプロセスが綴られた『羽生結弦 王者のメソッド』(文藝春秋)。

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