問題が無いと感じたことが“敗因”に 2019年箱根駅伝で青学が5連覇を逃したワケ
第5回:問題発生は組織を成長させるチャンスなんです
「問題こそ組織を成長させる」というのが原晋監督の哲学だ 【写真:松尾/アフロスポーツ】
改革を達成するためには、課題、問題に直面せざるを得ません。これは避けることができません。
私が青学の長距離ブロックの改革に取り組み始めた時は、失敗もしました。選手たちをあるべき方向に向かせることができず、中には門限を破ったり、寮則で禁じられている飲酒をする学生もいたほどです。それに対して私は学生に対して疑いの目を向けながら学生を管理しようとしました。
明らかに、当時の私はこうした問題に対するアプローチを間違えていました。手痛い失敗をしながら、私が気づいたのは、
「成功するためには、組織にふさわしい人材を集めることが大切なんだな」
ということでした。青山学院大というスクールカラーにふさわしいスマートで、明るく前向きな態度の学生に来て欲しい。高校時代の5000mのタイムがそれほどではなくとも、ポジティブなオーラをまとう選手であれば、大学に来てから強くなるはずだ、と。
浮かび上がった問題から発想を転換したことで、青山学院は成長曲線を描き出しました。
振り返ってみると、強化初期の問題の責任は私にありました。改革をしようとしたときに向き合わなければならないのは、「問題責任」です。この責任の所在を自分が引き受けられるかどうか。そこでリーダーの質が問われます。問題が生まれること、それは指導者として成長するチャンスなのです。
逆に、問題が起こらない組織というものがあります。傍目には順風満帆に映っている。しかし、問題が起きていないというのは、「組織が衰退しているのと同じ」だということに私は気づきました。
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