連載:原晋「改革する思考」

青学・原監督が考える指導者の在り方「エンターテイナーでいいじゃないか」

原晋
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第4回:これからの指導は集団化ではなく「セミ・プライベート」の時代

今の時代には画一的ではなく個々に合わせた指導が必要だと原晋監督は言う 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 自分から楽しみ、勝ちに行く選手を育てる。そのためには、指導者が走るだけではなく、幅広いトレーニングを考案していくことが大切なのです。これは、とても楽しい作業だと思うのです。他の競技のトレーニングを見て、自分の競技のヒントになりそうなものを見つけ、それを陸上に向けてアレンジする。私なんか、そんな作業が楽しくて仕方がない。

 指導者が楽しんでいれば、それは学生に伝わると思うのです。ジュニア期に大切なのは、陸上競技の「楽しみ」を見つけてもらうこと。これに尽きるのではないでしょうか。

 タイムに縛られていては、精神的にも疲れるし、面白みに欠けます。

 ここ数年、私が青学の指導で感じていることは、トレーニングの「集団化」の功罪です。私も集団のトレーニングの効果は知っています。青学を引き受けた当初は集団化によってベースをアップしていきました。合宿所で共に生活し、同じメニューをこなすことで、集団として成果を確認していく方法です。

 こうしたアプローチは、日本の高度成長期の産業モデルに近いかもしれません。

 みんなで、目標に向かおう。そして、みんなで、頑張ろう。

 いまでは私が好まない、一律、画一的な指導法ですが、実際に、青学はそれでチーム力を向上させ、2009年に33年ぶりとなる箱根駅伝に復帰したのです。だから私もその効果を知っています。

 しかし、高いレベルの選手が入学するようになってきて、選手の個性も多種多様化してきました。そのときに、同じアプローチを採っていては、選手の成長を阻害することに気づきました。集団としての達成目標は維持しつつ、個々の選手に合わせた練習メニューというものが必要になってきたのです。

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