連載:原晋「改革する思考」

青学大の陸上部は発想を磨く場 原晋「陸上と人生を充実させてほしい」

原晋
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第1回:改革発想を持てば、社会はきっと変わります

原晋監督は学生には「デュアルキャリア」を意識して取り組んでほしいと言う 【写真:アフロスポーツ】

 コロナウイルス禍はいつまで続くかは分かりません。様々な出来事を自分なりに考え、分析し、そのうえで適切に行動しなければ、日本は細っていくような気がしてならないのです。

 上が決めたことだから……という言葉は、聞きたくありません。決められたことは、必ずしも正しいとは限らないからです。唯々諾々と従うのではなく、自分の知恵を振り絞り、最適解を探す努力を続けていく。

 これが改革する思考の原点です。

 改革へのマインドを持つと、アイデアが浮かび、考えたことを表現したくなるはずです。それが人間の欲というものだからです。そうすれば、人間は行動に移ります。

 こうした思考を続けていくと、考え始めることから行動に移るまでのスピードが一気に上がります。すると、アイデアがどんどん生まれ、組織の改革スピードが上がっていき、よりよい組織になる可能性が高くなります。

 私は、青山学院の陸上競技部は10年以上の歳月をかけて、組織として強くなったと自負しています。

 そして、日本の教育や未来のことを考えると、私たちの世代だけでは時間が足りないことに気づきました。もちろん、私はとことんあらゆることを改革するつもりではいます。しかし、いつ時間切れになるかは分かりません。それならば、原イズムともいうべき、改革する思考を持った選手たちをひとりでも多く育てよう。そう考えるようになりました。それが未来の陸上界、そして日本の活力になるはずです。

 実際、卒業生たちはそれぞれのフィールドで活躍し始めています。おそらく、学生生活の4年間で私の発想に触れ、彼らが社会に出て、彼らなりに疑問を持ち、考え、そして行動に移しているのかな、と思います。彼らが社会と妥協せず、自分なりの発想で行動していけば、日本は変わります。私はそう信じています。

 その意味でも、学生時代にどういう環境に身を置くかは、人の一生を変える重大事ではないでしょうか。

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学生には「デュアルキャリア」を意識して欲しいのです

 私は学生たちに卒業後、必ずしも選手としてトップになって欲しいとは思っていません。

もちろん、オリンピックに出場する選手は出て欲しい。ただし、それは大学での競技生活以上に競争は激しいし、簡単なことではない。それならば、それぞれの決めた道でトップを目指せばいい。そう思っています。

 青学の卒業生は、これから社会で大きな役割を果たしてくれると信じています。4連覇、そして2020年の優勝に貢献したメンバーは、これから競技者としてピークを迎えるはずです。日本の長距離界に、青学の卒業生のプレゼンスが高まっていくのは間違いないと思います。

 そして競技面だけではなく、もっと遠い将来には企業活動であったり、スポーツ産業の様々なエリアで卒業生が活躍する絵が私には思い浮かびます。

 それはなぜか? 青学の選手たちには、学生の時から「デュアルキャリア」を意識させているからです。

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