最後まで風は葛西紀明の味方にならず 北京絶望も50代での五輪出場に意欲

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札幌で行われたスキー・ジャンプ全日本選手権。49歳のレジェンドは22位に終わった 【写真は共同】

 最後の最後まで大倉山の気まぐれな風はレジェンドの味方にはならなかった。スキー・ジャンプの全日本選手権は24日、札幌市の大倉山ジャンプ競技場でラージヒルの男女が行われ、男子はワールドカップ(W杯)通算19勝の小林陵侑(土屋ホーム)が1本目141.5メートル、2本目135.0メートル、合計296.0点で2年ぶりの優勝。今大会で表彰台以上に入らなければ9大会連続の五輪出場が厳しくなる状況だった49歳・葛西紀明(土屋ホーム)は1本目115メートル、2本目110メートル、合計172.7点で22位に終わった。

公式練習では大ジャンプも……

「ジャンプはいいが、条件が整わなかった。悔しい思いをしています」

 2本目のジャンプを終え、厳しい結果となった葛西は開口一番こう口にした。
 
「もしかしたら」と見ている者に思わせるシーンもいくつかあった。22日に行われたノーマルヒルの試技では96メートル、23日に行われたラージヒルの公式練習1本目では135メートルと、ファン、関係者から思わず「おおっ」と声が上がる大ジャンプを見せていた。

 本人もその手応えを感じていたようで、23日には自己採点は80点とした上で「久しぶりに芯食ったなという感じはありました。『俺はこのでかい(ジャンプ)台が好きなんだな』って気づきました。140(メートル)台を狙って飛びたいなと思います」と笑顔で語っていた。

 だが、本番では練習で見せていたような会心の飛距離が出ない。

「(上位メンバーと)ジャンプの技術がそんなに離れているとは(思わない)。陵侑以外はね(笑)。陵侑は別格に強いなって思っていますけど、それ以外はちょっと自分が調子よくなればいけるな」と分析をしたが、勝敗を大きく分けたのは風だった。

後半に向かうにつれて吹き始めた向かい風

 葛西の1本目、紅葉に染まりつつある木々は揺れず、ポールの日の丸も垂れ下がった状態でスタートを切らざるを得なかった。だが、後半に向かうにつれてジャンプに有利な向かい風が吹き始め、最後から5番目に飛んだ佐藤幸椰(雪印メグミルク)はサマージャンプのバッケンレコード(ジャンプ台の最長不倒距離)となる142メートルの飛距離を記録した。これらの自然条件を公平にするためにウインドファクターによる加点、減点や、スタート位置の調整などが随時行われるのだが、それでも風さえ良ければ……と感じさせる光景だった。

 葛西も「強い選手には最後に(向かい)風が“バッ”とくる。そういうシステムは昔からわかっている。こんな(スタート順)で飛んでいちゃダメだな」と厳しい条件下であったことを明かした。

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