ベイスターズ再建録―「継承と革新」その途上の10年―

中畑清が植えつけた“あきらめない野球” ファン、球団職員からも愛された男

二宮寿朗
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2015年シーズン、中畑ベイスターズはゴールデンウイークを過ぎても快進撃を続けていた 【写真は共同】

 もはや春の珍事とは言わせない。
 
 2015年シーズン、中畑ベイスターズはゴールデンウイークを過ぎても快進撃を続けていた。

 5月8日、ホームでの読売ジャイアンツ戦。4点ビハインドをひっくり返しての逆転勝利で6連勝を飾る。貯金は何と7。中畑が植えつけてきた“あきらめない野球”がそこにはあった。

 このゲームを締めくくったのが亜細亜大学からドラフト1位で加入したルーキーの山崎康晃だった。3者連続三振でピシャリと封じ、プロ野球新人記録を塗り替える9連続セーブを達成した。破顔一笑、中畑もご機嫌だ。

 何より打線が好調だった。

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 3番・梶谷隆幸、4番・筒香嘉智、5番・ホセ・ロペスがクリーンアップを固め、キャプテンに就任した筒香は開幕から2試合連続ホームランを放つなどチームを引っ張っていく。リードオフマンの石川雄洋(2021年3月に引退を表明)が第一打席で出塁すれば勝つという現象まで起こった。中畑が信じて使い続け、育ててきた若い選手たちがいかんなく実力を発揮するようになっていた。

 連敗もあれば連勝もある。この不安定さもスリル満点のアドベンチャー映画を観ているようだった。

 快進撃も重なって横浜スタジアムの大入りが続いていく。
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著者プロフィール

1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技 、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。 様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「 松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)「 鉄人の思考法〜1980年生まれ、戦い続けるアスリート」(集英社)など。スポーツサイト「SPOAL(スポール)」編集長。

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