連載:著名人たちの「偏愛フットボール」 我が愛しのプレミアクラブを語り尽くす!

アンリファンからいつの間にか“箱推し”に 女優・笹木かおりのアーセナル愛が溢れ出る

飯尾篤史
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ユニホームのコレクションを見せてくれた笹木かおりさん。ハイベリー最後の年となった05-06シーズンのアンリのユニホームは、なぜか2枚持っているという 【スポーツナビ】

 スポーツ好きの家庭に育った笹木かおりさんが欧州サッカーにハマるきっかけとなったのは、テレビのサッカー番組。そこでティエリ・アンリに魅了されたのが、グーナー(アーセナルファンの愛称)への道を踏み出す第一歩だった。スコアブックをつけて毎試合欠かさずチェックするようになり、スタジアムまで足を運んで、クラブの歴史に思いを馳せた。重要な選手たちが移籍し、22年間指揮を執ったボスも退任。難しい時期を迎えたが、クラブは今、困難を乗り越えて再び上昇しようとしている、そんな姿を見るにつけ、愛は深まるばかりだ。

アンリはいるけど何かが違った

アンリのプレーの美しさ、速さに惚れたという笹木さん。「まるで漫画のように足がクルクルって回っているように見えた。それくらい速かった」 【Getty Images】

――もともとティエリ・アンリのファンだったそうですね。

 スポーツをよく見る家庭だったので、オリンピックやワールドカップ(W杯)は必ず見ていて。なので、サッカー自体との出会いは2002年の日韓W杯になりますが、2004年にテレビのサッカー番組でやっていたEUROの特集を見たのが一番のきっかけです。そこでアンリのゴール集が流れて、それを見て、「何!? この選手!?」って。こんなに足が速くて、しなやかで、サイドをバーッと駆け上がるのに、シュートを打つ瞬間、フワッと軽やかで、こんなに美しくゴールを決める選手がいるんだって。当時、中学2年だったんですけど、衝撃的で。この選手のゴールシーンをたくさん見たいと思ったんですよね。

――ただ、EURO2004でのフランスは、ベスト8でギリシャに屈し、アンリも2ゴールに留まりましたよね。

 あれ? 事前情報と違うぞ、アンリは得点王になるんじゃないの? みたいな(笑)。「じゃあ、アンリは普段はどこでプレーしているんだろう?」と思って調べたら、アーセナルというチームだと。うちは衛星放送が見られたので、アーセナルの試合をチェックしたら、フランス代表で同僚の(ロベール)・ピレスや(パトリック・)ヴィエラもいて、アーセナルを追うようになったんです。それが04-05シーズンでした。

――でも、アンリは2年後、バルセロナに移籍しますよね。そのときのショックたるや……。

 その頃、フランス代表は(レイモン)ドメネク政権でゴタゴタしていて。アンリも「クラブでは活躍できても、代表では活躍できない」と言われていたんですよね。そうした中で、チャンピオンズリーグ(CL)で優勝したいとか、バロンドールを獲りたいとか、そう思ってバルセロナへの移籍を決断するなら、ファンとしてはその決断を尊重すべきだなって。すごくショックだけど納得というか、寂しいけど応援しなきゃ、という気持ちでした。だから、バルセロナのユニホームも買ったんです。それを着てバルセロナの試合を見ようと思って。でも、実際に見てみたら、アンリはいるけど何かが違った。それで、アーセナルを見てみたら、これだなって。アンリが好きでアーセナルを見るようになったけど、いつの間にかアーセナルという“箱”を好きになっていたんだなって。

――じゃあ、アンリが移籍したことで初めて、アーセナルが好きな自分に気がついたと。

 そうなんです。そこから私、「アーセナルファンだ」「グーナーだ」って、心から言えるようになったと思います。

バルサとモウリーニョはトラウマ

05-06シーズンにはクラブ史上初めてCL決勝に進み、キャンベルのゴールで先制したものの…… 【Getty Images】

――アーセナルのどんなところに、魅力を感じたんですか?
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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