直前に迫った2020年ドラフト会議。「大学生に有力選手がそろう」という声が挙がる中、進学が確実視されていた超高校級投手・高橋宏斗（中京大中京高）がプロ入りを宣言したことでドラフト戦線が一転。役者がそろった今、敏腕として鳴らす苑田聡彦スカウト統括部長（広島東洋カープ）と米村明アマスカウトチーフ（中日ドラゴンズ）は、上位指名候補に挙がる選手をどのように評価しているのか。

　第5回は、「高校生＆その他注目選手」編。超高校級右腕・高橋宏斗に注目が集まるが、その実力は敏腕スカウトからもお墨付きだ。果たして、何球団が1位入札するか。他にも、高校生、大学生の有力選手について、苑田・米村両氏が詳しく評価を語ってくれた。

苑田スカウト「高いレベルで出来上がっている完成形」

　高橋投手は別格。持っているエンジンが違う。ズバ抜けています。球が強くてキレがあって、それでコントロールも良い。昨年の奥川投手（恭伸／星稜高〜東京ヤクルト）や佐々木投手（朗希／大船渡高〜千葉ロッテ）も良かったですが、二人は1年目から期待するのは難しい選手でしたが、高橋投手は1年目からでもできる。高校生にして、もう高いレベルで出来上がっている完成形。高校生だけど高校生っぽくなく、即戦力になり得る選手です。

　近い将来、15勝はいける力があり、今ドラフトでは早川投手（早稲田大）、佐藤選手（近畿大）とともに間違いなく競合する選手でしょう。

米村スカウト「二重丸どころか三重丸のピッチャー」

　高校、大学、社会人を見渡しても抜きん出ています。スケールがとにかく大きくて他の高校生とは次元が違う。フォームがまだ完全には出来上がってはいないので、そこを修正したらもっと良くなっていって、今後、15勝できるような素材です。

　十中八九、大学進学だろうと思っていたので、4年後でもいいから獲得できればと見ていたのですが、こういう展開でプロ志望届を出したので、こちらとしては、その後の会議でだいぶ話をしています。間違いなく競合になるでしょうから、うちはどうするかと……。二重丸どころか三重丸の、本当に良いピッチャーですからね。